「空き家バンク」登録1千世帯を突破 コロナ禍で地方移住の関心高まる
2021年06月23日 のニュース

京都府福知山市の「空き家バンク制度」で、移住を希望する登録世帯数が、2009年度の制度開始から13年目にして通算1千世帯の大台を突破した。新型コロナウイルス禍で地方移住への注目を集める昨年度以降の伸びが堅調で、市は定住人口増加への好機ととらえている。
制度は、空き家の所有者と賃借希望者をそれぞれ登録して市がつなぎ、これまでに116件が成約している。
移住希望世帯の年間登録数(市内間移住を含む)は50世帯未満が長く続き、多くても100世帯前後だったが、地方移住への関心が高まった昨年度は274世帯と一気に増えた。
市は「ほどよく街で、ほどよく田舎」を合言葉に、自然と都市機能がコンパクトにまとまる住みやすいまちをアピールして、移住希望者向けの情報発信に力を入れている。
ホームページの内容を充実させ、コロナ禍の外出自粛で内覧会が難しかった時には、オンラインをいち早く活用して喜ばれた。
移住希望者の増加傾向は今年度に入っても続いている。
4、5両月の登録数は58世帯。これはコロナ前の2~4年前からは3・7倍、コロナ禍の影響で増加した昨年度と比べても1・6倍と好調だ。6月も登録が続いており、問い合わせも入っている。
登録1千件目になった京都市在住の40代男性は「大河ドラマ『麒麟がくる』がきっかけで興味を持った。福知山城にも行ったことがある。移住先ではシェアハウスを運営してみたい」とのコメントを市に寄せた。
市まちづくり推進課は「近隣市でも移住希望者が増えていると聞いています。福知山を選んでもらえるよう更にPRをしていきたい」としている。
登録空き家は不足必要数の8分の1
一方で、空き家の登録物件数は大幅に不足している。現在扱っているのは57軒で、移住希望の需要に対する必要数としては8分の1程度にとどまる。
市は物件登録増加が目下の急務だとして、広報紙や地域との協力で掘り起こしを進めていく。
写真=通算1千世帯登録を喜ぶ市まちづくり推進課の職員ら