準絶滅危惧種ヒダサンショウウオの成体確認 大江の渓流で水中撮影
2021年03月29日 のニュース
環境省のレッドリスト、京都府レッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されている「ヒダサンショウウオ」の成体が、福知山市大江町内の渓流で見つかった。発見したのは市自然科学協力員、永谷隆夫さん(50)。市内では数カ所の渓流で幼生が確認されているが、成体はなかなか見ることができなくなっているという。
ヒダサンショウウオは日本の固有種。関東地方から中国地方にかけての山地に生息するが、森林伐採などで数が減り、絶滅が心配されている。山間地の雪深い地域の清流近くにすみ、昔は滋養強壮剤などとして食用にされていたともいわれる。夜行性で、昼間は石や落ち葉の下に隠れて休む。
市自然科学協力員会が、2017年に両丹日日新聞で連載した「ふるさとの自然さんぽ」をまとめた本を発行した際、ヒダサンショウウオも紹介したが、成体は未確認だった。このため、永谷さんは毎年春先に市内の渓流に出かけて地道に調査を続けた。
11日に現地の水の中に入って川底の石の陰などを探っていたところ、繁殖のために川に入ってきたと思われる体長12センチほどの成体を発見した。体は薄い紫色で、金色の斑点が全身に広がる。驚かせないようにして水中カメラで写真と動画の撮影をし、しばらくすると泳いで水中の茂みに隠れたという。
永谷さんによると、ヒダサンショウウオは幼生期のエラのある時期を除き、成体になってからは陸上で生活する。繁殖期になると水中に入り、産卵する。卵を包む袋状の卵嚢は水中で虹色に輝いて見え、幻想的という。
「例年ならこの時期は一帯に積雪が残っていますが、今年はほぼ解けていて、繁殖のために行動していると思われる水中下での成体撮影ができました。千載一遇のチャンスに恵まれてうれしい」と話していた。
写真=水中で撮影されたヒダサンショウウオの成体(永谷さん提供)