大学と連携して教育、農業にICT活用 福知山市新年度事業を見る・中
2021年03月02日 のニュース

京都府福知山市は、未来への重点政策として、ICT(情報通信技術)の活用を掲げる。新年度当初予算案に、教育、農業、行政サービスなどの多分野に導入事業を盛り込んだ。
小中学生1人につき1台の学習者用端末や高速ネットワーク環境を整備する文科省の「GIGAスクール構想」。市は、福知山公立大学情報学部との連携で独自性を打ち出す。
新年度から小中学生が実際にタブレット型端末を使う学習が、本格的に始まる。
タブレット端末の学習履歴など、日々蓄積する膨大なデータを公立大情報学部が分析。学力では測ることができない、目標に向かって頑張る力やコミュニケーション能力などを見る「非認知能力評価テスト」も反映させて、福知山の子どもたちに最適な教育のあり方を探る。
教員のICT活用促進に向けた支援態勢にも予算を組む。
市教育委員会は「新年度はデータ収集と分析が始まる基礎固めの年。子どもたちの長所をさらに伸ばし、つまずきがある部分を補えるなど、福知山ならではの最先端の教育をめざしたい」と力を込める。
■高齢化で負担の集荷作業効率化にモデル地区■
ICT活用の有害鳥獣対策では、先進的知見を持つ兵庫県立大学の協力を得て、防除網や捕獲檻の設置、鳥獣被害の状況をデジタル地図上で可視化できるシステムを設計。被害軽減のため効率的に、素早い対応ができるようにしたい考え。2022年度からの運用開始を見込む。
農業では、生産者の高齢化で負担となっている集出荷作業を、まとめて効率的に行える流通の仕組みづくりに向けて、モデル地区を選定して実証実験に取り組む。
行政サービスのデジタル化では、大江町河守、河西地区の13自治会長にタブレット端末を配布して、市からの連絡、相互の情報提供、災害時の連携などでの有用性を調べる。行政手続きでは、各種窓口サービスのオンライン化への事業が始まる。これまでは持参か郵送で対応していた児童手当の現況届を、オンライン申請でもできるようにする。ただし申請にはマイナンバーカードとカード読み取り機器が必要になる。
写真=文科省のGIGAスクール構想は、公立大との連携で福知山の独自性を出す