国道9号夜久野トンネルをバイパス化 幅員広げ歩道の新設も
2021年01月26日 のニュース

国土交通省は、京都府福知山市夜久野町井田地区で、国道9号の改良工事を進めている。夜久野トンネルが狭く、大型車の離合が困難なためで、南側に台地を掘削したバイパスを整備してルートを変更し、安全性を高める。総事業費約31億円を見込む。
9号は京都市と山口県下関市を結ぶ西日本で一番長い国道で、物流の大動脈。夜久野でも各地の大型車が目立ち、交通量の3割近くを占める。
改良区間の800メートルにある夜久野トンネル(長さ153メートル)は幅員が狭い形状から、大型車のすれ違いが難しく、歩道も未設置の状態だった。さらに開通後60年近くが過ぎて老朽化が激しく、漏水もみられている。
新設するバイパスは現在の国道と並行するルート。台地を最大15メートル掘削し、夜久野トンネル内より3メートルほど広い幅員10・5メートルの道路を敷設する。内訳は車道3・25メートル2車線、両側に路肩0・75メートル、片側に歩道2・5メートルを確保する。

2017年春に着工し、すでに畑川に架ける橋の橋台や護岸が完成。台地掘削のための重機類が出入りする工事用道路が付き、これから本格的に掘削に入る。供用開始時には夜久野トンネルを塞ぐ。
現地では昨年11月、府の遺跡調査で国内最古級の後期旧石器時代の石器群が出土。さらに範囲を広げて発掘調査を進めているところで、台地掘削にも時間がかかるとみられる。
国土交通省福知山河川国道事務所では「完成時期は未定ですが、旧町時代から改善の要望が出されていた場所で、物流機能を向上させるだけでなく、災害時の緊急輸送路や安全な歩行空間の確保の観点からも、早期完成をめざしたい」としている。
写真上=狭く大型車の離合が困難な夜久野トンネル。左はバイパス整備のための工事用道路
写真下=現在の国道から赤い点線部分にルートが替わる。画像上手が京都向き、下手が鳥取向き(国土交通省資料より)