臓器移植や延命「君ならどう考える」 救命救急センターの医師が高校で講演
2020年11月07日 のニュース

京都府福知山市東羽合の京都共栄学園高校(平野恵校長)バタビアコースの2年生が5日、同校OBで岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授の中尾篤典さん(53)=観音寺出身=の講演を聴いた。同大学病院高度救命救急センターの医師でもある中尾さんの経験などを聴き、命の尊さや医師の仕事について学んだ。
中尾さんが、後輩たちのために何か役立つことができないかと同校へ相談したことで実現し、同コースの2年生74人が聴講した。
講演では「救命救急センターは、救命できなかった人が亡くなる場所でもあり、最も人の死と向き合わなければならない場所です」と説明。脳死状態になった女子学生のケースでは、その家族が悩み抜き「優しい子だったから、きっとこうすると思う」と、女子学生の心臓を別の患者に提供する決断をしたこと、家族のケアにも尽力したことを紹介した。
「臓器移植では、ドナー(提供者)になった人が他のどこかで生きているという価値観もあります。人が死んでしまうのはつらいことですが、そこに何か意味を持たせてあげることも医師には大切です」と教えた。
そこから、自分に何かあった時のために臓器移植や延命について自分の望むことを表明しておくアドバンス・ケア・プランニング(愛称・人生会議)について解説したほか、延命を希望しない高齢者への対応と家族の葛藤、自殺者への救命は必要かといったテーマも取り上げ、「君が当事者ならどう考える?」と語りかけた。
写真=生徒に医師の仕事について話す中尾さん(右)