迫る「光秀大河」放送 福知山城で手づくり甲冑隊活躍
2020年01月01日 のニュース

戦国武将・明智光秀と福知山市の関わりは深い。その光秀を主人公としたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が、いよいよ19日から放送される。光秀が築いたとされる福知山城、光秀公を祀る御霊神社、治水対策のシンボルとなっている明智藪…。京都府福知山市には、光秀ゆかりの場所が数多い。なかでも福知山城は、ドラマの放送を控え来城者数が急激に伸び、注目が集まる観光スポットになっている。
そんなお城で、丹波福知山手づくり甲冑隊(寺本吉勝隊長)が活躍している。厚紙やプラスチックで作ったとは思えない重厚さを感じさせる鎧と兜を身にまとい、来城者を案内したり、一緒に写真に収まったり。寺本隊長(71)は「これまで不定期でしたが、今年は定期的にして、観光客をもてなしたい」と張り切る。
■教室開いて仲間を増やす■
発足のきっかけは、手作り甲冑を着た寺本隊長(71)=東野町=が、城で案内や写真撮影に応じ、福知山マラソンの応援を始めたこと。これを知った市が声を掛け、甲冑隊の結成を提案。2011年秋に手づくり甲冑教室が開かれて、受講した14人で隊を立ち上げた。
教室は過去4回開いており、現在は22人が隊員として登録。このうち実動部隊は6人で、お城まつりや酒呑童子祭りなど、市内の各種イベントに参加しているほか、甲冑の着付け体験や展示なども行ってきた。
また長岡京市のガラシャ祭、兵庫県川西市の源氏まつりなど、市外のイベントにも積極的に出陣。大河ドラマの誘致活動にも取り組み、光秀の大河決定に大きく貢献した。
昨年7月には、気軽に登録してもらおうと、隊員がこしらえた甲冑を着て催しに参加する「福知山城 明智衆」を、新たに結成した。甲冑はプラスチック製で、ヘルメットをベースに作った兜は、福知山踊りの踊り子がかぶる編み笠に似せてある。
現在は2人の登録にとどまっているが、10月の酒呑童子祭りで初出陣し、会場を盛り上げた。

手づくり甲冑隊のメンバーで、甲冑製作の指南役を務める田村宏さん(72)=市の谷=は、ミニチュアのものを含め、これまでに21領もの甲冑を完成させた。甲冑は厚紙2枚と薄いボール紙1枚を重ね、水性塗料で色付けし、ニスで光沢を出して仕上げる。手の込んだものになると、ひも通しは3千カ所ほどあり、根気のいる作業だ

大河ドラマ誘致活動にも尽力した(17年のあやべ丹の国まつりで)

さらに光秀の妻、煕子の名前を使った「福知山城 煕子姫隊」をつくる構想もあり、明智衆と同様に登録制とし、手づくり甲冑隊員で用意する甲冑と、兜の代わりに烏帽子か鉢巻きをつけ、イベントに参加する。武器も刀ではなく、なぎなたにして特徴を出すという。近いうちに募集を始める。
今後の活動について、寺本隊長は「今年は特に、頻繁に城に立って、写真撮影に応じたり、光秀の話をしたりすることで、PRに貢献したい。また要請があれば、どこにでも出向くつもりです。来福者が喜んで帰っていただけるよう、甲冑隊も協力していきたい」と話している。
甲冑隊のキャッチフレーズは「十分なことはできぬが、おもてなしやにぎやかしは、させていただきたく存ずる」。大河効果を一時的に終わらせるのではなく、観光客がリピーターになってもらい、盛り上がりが長く続くよう、今後も力を尽くしていくという。
写真上=ポーズを決める甲冑隊(福知山城前で)
写真下=光秀のしゃべる自販機のお披露目にも出席