高齢者の暮らしを住民が手助け 夜久野町、有償ボランティアの利用者増加

2023年01月19日 のニュース

 京都府福知山市夜久野町の住民組織が進める「暮らしのささえ愛」事業の利用者が増えている。地域の「ささえさん」が、依頼してきた高齢者宅に出向き、草刈りや雪かきなどの作業をするもの。利用登録者は、一昨年4月の開始当初11人だったが、1年後に44人、現在は70人になった。

 「住み慣れた夜久野で安心して暮らす」態勢づくりが目標の事業で、夜久野みらいまちづくり協議会の福祉あんしん部会(夜久昭広部会長)が、有償ボランティア組織を立ち上げて始めた。同町の高齢化率は50%を超え、市全体の約30%を大きく上回る。一人暮らしも約220人に増加。日ごろの生活でのちょっとした困り事を登録ボランティアが手伝う仕組みづくりの必要性を感じてのことだった。

 現在、ささえさんは開始当初より少し増えて60~70歳代を中心に82人が登録。一方、利用者名簿への登録者は一人暮らしの高齢者や高齢者世帯が多く、年齢層は60歳代~90歳代と幅広い。

 事務局は利用者から500円を受け取り、作業内容などからマッチングをして、ささえさんに出動を要請。オレンジ色のユニホームを着て依頼先に出向いたささえさんは、約1時間の作業をし、事務局から労働の対価ではなく謝礼として500円の商品券を受け取る。こうしたルールがあり、「お礼を考えずに気兼ねなく頼める」のが人気の理由の一つとなっている。

 これまでの利用実績は延べ138件。依頼内容は草刈りや屋内掃除、家庭菜園の手入れなどが目立つ。定期的に朗読や風呂・トイレの掃除などを依頼するリピーターも少なくない。テレビのリモコンの設定や携帯電話のルーター接続、電球交換をしてほしいとの電話もあった。昨冬には雪かきが集中した。

 窓ふきの依頼をした高齢者は「体が不自由になり、何をするにも助けがいります。こんな良い事業があり心強い」と喜んでいる。「顔なじみの方が来てくれるので安心」との声もある。

少子化進むなか後継者育成が課題

 住民主体での助け合い活動を実践しているところはまだ少なく、視察・研究に訪れる地域や大学などもある。

 夜久部会長は「4月で活動3年目に入ります。ささえさん自体も将来は支えられる側になってくる。少子化が進む中、後継者の育成を進めていく必要があります。現役引退後、まちの課題解決の支え手となることは、健康や生きがいづくりにもつながり、ぜひ活動に加わってほしい。利用される方も困り事を放置せず、気軽に相談してほしい」と呼びかける。

 活動資金を補助する市の地域包括ケア推進課の高山明子課長は「高齢化が進む中で住み慣れた地域で生活を続けるためには、公的なサービスだけでなく、住民の支え合いがとても重要で、協議会ではみなさんがやりがいを感じながら発展的に取り組まれています。事業が継続できるように今後もサポートを続けたい」と話していた。


写真=依頼したお年寄りと話しながら除草作業をするささえさん

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