冬場に怖いヒートショック 少しの工夫で危険回避を

2023年01月24日 のニュース

 冬場に起こりやすいヒートショック。京都府福知山市消防本部によると、普通の生活を送っている高齢者が入浴時に引き起こし、そのまま命を落とす場合が目立つという。「ただし、予防をすることで危険を回避できる」という。福知山市健康医療課の保健師、池田小春さんに聴いた。

 ヒートショックとは、急激な気温の変化で血圧が上下し、心臓や脳の血管がダメージを受け、脳出血、心筋梗塞、大動脈解離など命に関わる症状を発症すること。池田さんは「甘くみてはいけない、とても怖い現象」だと訴える。

 一番起こりやすい場所は「風呂場」。入浴時に溺れて亡くなる人の原因は、ほとんどがヒートショックだと説明。浴槽で死亡する高齢者は2019年の1年間で、全国で4900人にものぼり、「身近に起きるものだと感じてもらいたい」という。

 危険度を確かめる項目が6つある。チェックしてみよう。

 □睡眠時無呼吸症候群、不整脈がある
□65歳以上だ
□風呂は熱いお湯が好き
□30分以上湯船に浸かる
□飲酒後すぐに入浴する
□肥満、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病がある

当てはまる数が多いほど危険だという。

 具体的にはどのような状況で引き起こされるのか。暖かい室内を出て、寒い脱衣室や浴室に行くと、血管が縮んで血圧が上がり、その状態で熱い湯船につかると血管が広がり、一気に血圧が低下する。こうしたことで、ヒートショックになる。

 症状は、軽症の場合は立ちくらみやめまいで済むが、重症になると、頭痛、嘔吐、強い胸の痛み、意識の消失、ろれつが回らないなど、さまざまな症状が起きると解説した。

 予防としては、温度差を小さくすること、急激な気温変化を避けることが大切で、あらかじめ暖房器具を使ったり、シャワーを出したりして脱衣室や浴室を暖めておく▽太陽が出ている時間の方が脱衣室も浴室も暖かいので、入浴は日中もしくは日没前に入る▽湯船に入る前にかけ湯をして、体を慣らしてからゆっくり入る▽お湯の温度は41度以下にする▽入浴前後の水分補給-をポイントに挙げた。

 トイレでも起きる場合があるので、便座カバーなどをして便座やトイレ内を暖める▽上着を羽織り、靴下やスリッパを履いて、寒くならないようにする▽いきみすぎない▽いきみすぎないために、便秘を防げるように食物繊維を積極的に取り入れる-と紹介した。

■同居者がいれば入浴前に一声■

 市消防本部によると、福知山市内では例年12月から3月に多く発生していて、そのほとんどが65歳以上の高齢者だという。昨年12月は7件起きていて、一昨年同月と比べて6件も増加している。

 市消防本部は「予防方法を知っていれば防ぐこともできます。50歳を超えて高血圧の薬を飲んでいる人は、日常生活を普通に送れていても、比較的なりやすく、家族もそれほど意識していないので発見が遅れるケースがある。同居者がいれば入浴する前に一声かけることも意識してもらえたら」と注意を呼びかける。

 浴室での事故を見つけたときは、救急車を要請するとともに、可能な範囲で対応してほしいという。浴槽の栓を抜き、大声で助けを呼んで人を集める▽入浴者を浴槽から出せるようであれば救出する。出せないようであればふたに上半身を乗せるなど、沈まないようにする▽浴槽から出せた場合は肩をたたきながら声をかけ、反応があるか確認する▽反応がない場合は呼吸を確認する▽呼吸がない場合は胸骨圧迫を開始する-の手順を推奨している。

 また、救急車を呼ぶか迷う状態の場合は、救急の相談窓口「♯7119」を使ってほしいという。

 

写真=入る前にシャワーを出して浴室を暖めておこう

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