昭和と令和で「ここが変わった」 小学校の教育現場

2023年01月02日 のニュース

 性的少数者への配慮や、いじめにつながるケースがあるとして、京都府福知山市内の一部の小学校では、クラスメートを「さん付け」で呼び合うなど、時代に合わせた教育が進められている。市教育委員会や元校長らに聞くと、昭和時代と現代の令和時代では多くの変化があった。暖房器具や給食、児童の健康づくり、電話連絡網など大きな違いを見てみよう。
  

【写真】昭和時代に活躍した「だるまストーブ」(昭和45年、昭和小提供)

■授業

 大きな変化と言えば、授業風景。令和時代になり、教室の中にICT(情報通信技術)が入って来た。福知山市教委はICT教育を進めて通信環境を整え、令和3年度には市立小中学校のすべての児童、生徒にタブレット端末を配布。各教室には大型モニターや、タブレット端末の充電保管庫を設置した。タブレットは授業で調べものをする時に使ったりするほか、宿題の提出などにも活用されている。
【写真】タブレットを使って授業を受ける子どもたち(令和4年、遷喬小)

■給食

 戦後の昭和時代では、野菜を持ち寄り、保護者たちが交代で給食を作っていた学校もあったという。主食はパンが多く、脱脂粉乳を飲んだほか、肉といえばクジラだった。昭和小の昭和45年の卒業アルバムには「毎日のパン給食おいしかった ちょっぴりたりなかったけど」と記載されている。基本的には各学校で調理されたものを食べていた。

 令和時代は市学校給食センターで調理したものを各学校に配達している。主食は米が基本で、週1日だけパンの日がある。地元産のジビエ(鹿肉)を使った料理や中華、韓国、フランス、ブラジルなど多国籍料理が提供されるときもある。
【写真】給食を食べる子どもたち(昭和45年、昭和小提供)

■運動会

 昭和時代の運動会と言えば、鼓笛隊によるパレードが花形の一つだった。小太鼓やリコーダー、鍵盤ハーモニカなどを演奏しながら、行進するものだが、令和時代は見かけなくなった。また、組体操は安全面を考慮して減っている。その代わりに、現在はダンスや民舞が主流となっている。
【写真】鼓笛隊による演奏(昭和54年、惇明小提供)

■飼育小屋

 校内の一角にあった小屋。鳥やウサギを飼育していて、夏休みなどの長期の休みのときは当番となった児童が交代で世話をしたという。その後、鳥インフルエンザの影響などで、徐々に飼う学校は減った。かつてはヤギを飼っていた学校もあった。現在、小屋は撤去したり物置として活用したりしている。

【写真】鳥の世話をする子どもたち(昭和時代、昭和小提供)

■水泳指導

 昭和時代、由良川など地元の川が子どもたちの水泳場だった。その後、各学校にプールが設けられた。洗体槽につかってからプールに入っていたが、塩素の影響が懸念され、令和では使用しなくなった。プール後の洗眼器も眼球を痛める可能性があるとして使用をやめた。現在は、シャワーを使っている。

 また天候に左右されない学びの場の確保などを目的として、令和4年度には大江小学校をモデル校として、市温水プールを活用した水泳の授業を始めた。
【写真】洗眼器で目を洗う児童(昭和49年、惇明小提供)

■健康づくり

 男子は上半身裸、素足で運動場を走ったあと乾布摩擦をしていた。昭和小学校では昭和末期ごろまで続いたという。現在は、体育の授業内容に合わせて、始業前にグラウンドを走ったり、なわとびをしたりと周期を決めて取り組んでいるほか、一部の学校では独自の体操を取り入れている。
【写真説明】乾布摩擦する子どもたち(昭和時代、昭和小提供)

■電話連絡網

 学校からの連絡を回すため、保護者にはクラスメートの名前や電話番号をまとめたものが配布されていた。プライバシー意識が高まり減少。現在はメールやアプリで連絡を回している。

 市立小学校では、令和3年度から順次、アプリで学校だよりを保護者に通知するようになったほか、一部の小学校では欠席連絡もアプリで受け付けている。

【写真】アプリで学校だよりを見られるようにした(令和4年)

■暖房器具

 石炭を燃料とする「だるまストーブ」から石油ファンヒーターに変わった。昭和時代には、子どもたちがストーブ用にと薪を学校に持参する薪当番があったという。

 現在では、各教室にエアコンも整備されている。一部の学校では、コロナ禍で児童の机の間隔を保つため、石油ファンヒーターを教室内に置かず、エアコンで暖めている。

【写真】現在はエアコンも整備されているが、石油ファンヒーターが教室を暖めている(令和4年、遷喬小)

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