そのコロナ情報、知人に伝えて大丈夫? SNSの発信にご注意を

2020年04月23日 のニュース

 新型コロナウイルスをめぐるデマが、インターネット上で飛び交っている。ツイッターやラインなどのSNSで流れる「うわさ」を信じて人びとが買いだめに走ったり、本当かどうかを確認する電話が相次いで業務に支障が出る機関や事業所が出たり。京都府福知山市も例外では無い。なぜ誤った情報が広がるのか。福知山公立大学に今春誕生した情報学部に聞いた。

東京では一時、テレビ局の関係者からとする、政府による都市封鎖の発表があるので食料品などを早く買いに行くようにとのデマが広まった。近隣でも「知り合いの医師」「医療関係者」からの情報だと信用付けをして、「医療崩壊」などの社会的不安を煽る言葉を使い、根拠の無い予防方法を紹介するメッセージが広まった。

メッセージを受けて次の人に伝える「中継者」は、多くの場合、わざわざデマを広げようとする意図は無い。デマだと気付かず、「大事な情報だから、あの人にも知らせてあげなければ」という善意のつもりなのだが、結果として(知らずに)加担したことになっている。

また「大勢に広める」つもりもなく、ごく親しい「あの人にだけ」知らせたつもりが、大勢の人に広める結果になることもある。なぜそんなことになるのか。

■なぜ? 福知山公立大情報学部に聞きました■

仕組みを教えてもらったのは、情報セキュリティーを専門とする衣川昌宏准教授(38)。安全なIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)社会を作るための研究をしている。

衣川さんがまず指摘するのは、ネットの手軽さ、簡単さ。SNSは、ネット上で見かけた役立ちそうな情報、知人から届いたメッセージをボタン一押し、ワンクリックで引用、伝言できる。受け取った人は「あの人からの情報なら」と、またワンクリックでほかの知り合いに伝える。こうして情報は瞬時に広まっていく。

困ったことに、正しい情報、本来広めることが望ましい情報よりも、誤った情報の方が広まりやすい。誤った情報ほど、信憑性を持たせるために衝撃的な言葉が使ってあったりするためだ。一度発信してしまった情報は、後から間違いだと気付いて訂正しても、訂正は広がらない。

■グループ内だけの話のつもりが■

「大事な情報だから多くの人に知らせたい」と、最初から広めること(拡散)を意図して情報やメッセージを出す人もいるが、本当に親しい人や、仲間たち・特定のグループ内だけに送ったつもりが、外部の人たちに広がるケースも多い。「ここだけの話」「まだ秘密」という話ほど、聞けば他人に話したくなるのはネットも実社会も同じこと。いくら「ナイショだから」と釘を刺し、一人だけに伝えたつもりでも、送信してしまったものは第三者に広まってしまうことを覚えておきたい。

また、情報は人から人へと伝えられる途中で誤解、曲解されたり、誇大に表現されたりして内容が変わっていく。「あそこの会社は従業員が多いから感染者が出やすいかも知れないね」という世間話が、いつのまにか「感染者が出た」という話になる。社会に不安が広まっている時はなおさら、伝言する人の不安が情報に上書きされてしまう。「普段なら、おかしいと気づくような誤情報でも、情報に飢えている時は飛びついてしまうものです」と衣川さんは説明する。

では、誤った情報を広めないためには、どうすればいいのか。個人のブログや、まとめサイトは使わないこと。「国・自治体、大学や医療機関など、信用できるところの情報以外は使わない」ことだという。だれかに伝える時には、引用元のリンクを添える(URLを貼る)ことも勧める。

受け取る側は、親しい人からの情報だからと鵜呑みにせず、自分で判断する、ネットを使える人なら自分で一次情報を確かめることが大切だという。

テレビをつけても、ネットを開いても朝から夜までコロナ関係のニュース。「情報洪水に巻き込まれて思考停止に陥らないで」とも呼びかける。

■一次情報の国や自治体は分かりやすく発信を■

デマの拡散を防ぐ上で、もう一つ大切なことがある。一次情報となる、国や自治体などが、「分かりやすく」発信すること。カタカナ言葉や専門用語を乱発したり、分かりやすさより正確さを優先して、いたずらに長い文章になってしまったりする。本当に求めている情報が発信されないことで、憶測や誤った情報が、はびこる原因になっている。「情報発信者が、人びとからの信用を勝ち取らねば」と警鐘を鳴らす。

国、自治体に限らず、私たち報道機関にも投げかけられている言葉だと受け取った。


写真上=情報学部がスタートした福知山公立大学。新年度を迎えたが、休校で学生の姿は無い
写真下=福知山公立大学情報学部、衣川昌宏准教授。専門は情報セキュリティー。

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