福知山公立大開学10年 川添学長に聞く、教育改革の狙いは
2026年03月25日 のニュース
【略歴】
川添信介…佐賀県出身。京都大学文学部哲学科卒、同文学研究科博士課程、フランス留学を経て、大阪市立大文学部助手。京都大学教授、同文学研究科長、同理事・副学長などを経て22年から現職。
Q…学長就任からの4年間を振り返ると
A…地域に根差し、貢献する大学として、一定の評価は得られていると感じています。これは私の就任後だけでなく、開学以来10年の積み重ねの成果です。学生の積極的な地域活動のほか、2021年度から市の委託を受けて実施している「NEXT産業創造プログラム」では、本学の学術的知見を生かした起業家人材の育成に取り組んできました。こうした活動を通じ、高等教育機関である大学が地域にある意義への理解も徐々に広がってきているのではと思います。
Q…20年に設置した情報学部への評価は
A…開設に直接関わってはいませんが、結果として非常に良い判断だったと思います。社会全体でデータサイエンスやAIなどの重要性が高まる中、情報学は不可欠な分野です。本学では先端的な情報技術を学ぶだけでなく、地域課題の解決につながる学びを重視し、教員も地域に出向き実践的な活動をしています。社会的な需要も高い意義のある学部だと考えています。
Q…学士課程教育改編の狙いは
A…本学は開学以来、地域に根ざしつつ世界でも活躍できる「グローカリスト」の育成をめざしてきました。ただ、この理念は情報学部設立以前に定めたものであり、変化の激しい現代社会においても最適な目標なのか、改めて検討する必要がありました。地域に貢献する大学であるという根本理念は変わりませんが、これからの社会を生きる学生に必須だと考える「情報学を基盤とした地域協働型教育」を学士課程の教育目標に据え、時代に即した人材育成を進めていきます。
Q…新たな教育目標のもとで何が変わるか
A…大きな変更点は、これまで地域経営学部の1年生が取り組んできた「地域経営演習」を廃止し、「地域協働演習」を新設します。この演習では地域経営学部と情報学部の1年生が混成クラスで学びます。学期の前半はデータサイエンスなど情報学の基礎を座学でしっかりと身に付け、後半では実際に現場へ出て実践的な学びに取り組む構成とします。初年度は福知山市役所を主な提携先としますが、将来的には地域や企業にも参画していただき、課題設定から解決策の提案までを協働で進めていく形をめざします。
Q…既存の「地域経営演習」は提携先の地域住民から一定の評価を得てきた。廃止に伴い市民から不安の声も聞かれるが
A…これまでの演習では入学直後の1年生がすぐに地域に入り、与えられたテーマに取り組む中で地域活動や祭りにも参加し、住民のみなさんに喜んでいただいていた面はありました。一方で、十分な準備がないまま現場に入ることへの指摘や、「これが学生の学びになっているのか」といった声もありました。大学としては、情報学の基礎や地域課題への理解をしっかり身に付けた上で現場に臨むことが大切です。不安の声があることは承知していますが、教育機関としては学生の成長を最優先に据える必要があります。地域のための大学であるという姿勢は変わりませんし、長期的には学生と地域、双方にとってより良い成果につながる変化だと考えています。
Q…学長の任期(1期目4年、2期目2年)は残り2年。今後どのような大学運営をめざすか
A…残された2年間でできることは限られていますが、まずは新カリキュラムを軌道に乗せることが最優先の課題です。同時に、任期満了となる時期は6年ごとの中期計画の節目に当たり、第3期中期計画のスタートとも重なります。その策定に関わることも重要な役割だと認識しています。また、統計的にも18歳人口は2040年以降、急速に減少すると見込まれており、大学間の競争は一層激しくなります。そうした時代を見据え、次の中期計画では「選ばれる大学」となる方向性を示せたら。
Q…選ばれる大学になるためには
A…本学は第2期中期目標として「福知山モデル」の実現を掲げています。これは、福知山をはじめ北近畿が抱える課題そのものを教育内容とし、その課題選択に地域の方々にも関わっていただくという取り組みです。地域貢献を掲げる大学や情報学部を持つ大学は全国的に多数ありますが、この2つを一体的に実践できるのが本学の強みです。今後は、情報学を基盤とした教育を着実に定着させ、活躍できる人材を継続的に輩出していく。その結果、大学と地域がともに発展していく姿を示すことができれば、地域に貢献したいという志を持つ学生にとって魅力ある大学になるのではないでしょうか。
Q…地域の方々へメッセージを
A…日ごろから本学を支えていただいており心から感謝申し上げます。大学は市民に開かれた機関であることを心掛けています。地元の課題やご相談など気軽にお声がけください。地域とともに歩む大学として、より身近な存在であり続けたいと思っています。









