つくりもんの仕上げ急ぐ 連日夜遅くまで作業 夜久野町額田区
2025年10月10日 のニュース
京都府知山市夜久野町の秋の風物詩「額田の祭り」(額田区主催)が、今年も11、12両日に同区一帯で開かれる。開催を目前に控え、住民たちは連日夜遅くまで祭りの準備に励んでいる。中でも野菜など野山の幸を材料に作る下ダシ(つくりもん)制作は佳境を迎え、地区ごとの作業場では急ピッチで制作が進んでいる。
祭りは上ダシ、下ダシ、古代信仰の名残を今に伝える「御神木の走行御幸」からなり、「額田のダシ行事」として京都府と福知山市の無形民俗文化財に指定されている。
下ダシは、1905年に子ども歌舞伎が廃止された際、青年たちが五穀豊穣に感謝し、野菜で「川中島合戦」を再現したのが始まりとされる。
現在は下町、上町、且、奥、向の5地区がそれぞれ、童話や神話、大河ドラマやアニメの場面などを題材に、野菜や果物、草花を材料に、毎年、工夫を凝らして作っており、祭りの呼び物の一つとなっている。
9日夜、祭りで披露する踊りを練習する子どもたちの鳴子の音が響く中、住民たちが各地区の作業場に集まって制作を進めていた。
且地区では、今年はジブリ映画の一場面を再現しようと、1カ月ほど前から作業を開始。これまでから「桃太郎 鬼ケ島決戦」「牛若丸と弁慶」など迫力ある下ダシを手掛けてきた同地区だが、今回は過去最大級の大きさといい、大量のサツマイモや長ナス、小豆を並べ、細かな小道具作りにも精を出した。
10年前から下ダシ作りに参加する松田純一さん(42)は「平日の夜に毎晩集まるのは大変なこともありますが、地域のみなさんと一緒に作業するのがとても楽しい。無事に完成できるよう頑張りたい」と笑顔を見せた。
祭りをPRする「額田のダシ振興会」の大本功幸会長(70)は「祭りはコロナ禍での中止から復活して今年で3年目。下ダシに使う野菜も多くの方から提供をいただき、再び地域に根付いた祭りになったと感じています。どの地区もレベルの高い下ダシを作られていますので、当日はぜひ会場に足を運んでもらえれば」と来場を呼びかけている。
下ダシの公開時間は11日が正午から午後8時まで。12日が午前8時から午後9時まで。
祭りではこのほか、2階部分が回る山車2基と太鼓屋台の巡行などがある。時間は11日が午後6時から11時まで、12日が午前8時から正午まで。子どもたちによる踊りや曳きぞろえがあるクライマックスは12日午前9時30分から。
御神木巡行は12日午後1時30分から10時ごろまで行う。
写真(クリックで拡大)=下ダシの制作が急ピッチで進められている(且地区)