丹波漆のさらなる振興を 万博出展で機運高まり、住民らが連絡会議発足

2025年09月29日 のニュース

 1300年以上の歴史を持つ京都府福知山市夜久野町の伝統文化「丹波漆」を盛り上げようと、地元の住民や市職員らが「夜久野の漆振興と伝統産業化に向けた連絡会議」(衣川伸二会長)を発足させ、活動を進めている。大阪・関西万博への出展で高まった機運を追い風に、地域資源としての漆を守り、さらなる盛り上がりをめざす。

 連絡会議は、夜久野みらいまちづくり協議会、NPO法人丹波漆、市営「やくの木と漆の館」の関係者らで構成。事務局は京都工芸繊維大学大学院修士2年の菰田伶菜さんが務め、8月に発足した。

 丹波漆は6月、大阪・関西万博の「関西パビリオン京都ゾーン」に出展し、7日間で約2万人が訪れた。会場には市職員に加え、10代~50代の住民がサポート役として参加。地域一体となって漆を通じた夜久野の魅力発信に努めた。

 この経験に大きな手応えを感じた住民らが同連絡会議を設立。地域の資産である漆の普及をめざすとともに、昨年4月、菰田さんが大学卒業研究として地域に提案した、木の成長とともに変化していく「漆の森の再生と伝統を受け継ぐ建築」の実現も目標に掲げる。

 今年度はプレ期間としてPR活動を中心に展開し、11月に同町である漆のイベント「うえるかむまつり」で「漆の森」のコンセプトを盛り込んだベンチや休憩所を地元木材で制作・展示する予定。

 衣川会長(66)は「まだ動き出したばかりですが、活動を知った人たちに少しでも丹波漆に興味を持ってもらえたらうれしい」と意気込んでいる。

漆の活用考えるワークショップも

 連絡会議の取り組みの一環として今月、同町水坂の農家民宿米yaでワークショップが2日間の日程で開かれた。企画したのは菰田さんで「地域産業を生かす建築と住民参加の可能性」をテーマに、参加した同会議のメンバーたちが漆を取り入れた建築アイデアを考えた。

 初日は地図などを使いながら、地域に必要な施設を自由に発想。2日目にはそれらを整理し、カフェやトイレ、ホテルなど漆を生かした建物のイメージを絵に描いて発表した。

 参加した会員は「これまで漆については関係者が主に取り組んでいたが、こんな風に地域の人たちも一緒になって漆の未来について考えられるのは、新しい段階に来たのだと感じます」などと話していた。


写真(クリックで拡大)=菰田さん(中央)と一緒に漆を活用した建築アイデアを出し合う住民ら

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