地域課題×デジタル 夜久野の農産物を全国へ 公立大生と農家がタッグ

2025年07月01日 のニュース

 肥沃な土壌に恵まれた福知山市の夜久野高原で取れた農作物を全国の消費者に届けようと、大学生と地元農家が協力し、生産品をインターネット上で販売するEC(電子商取引)サイトを運営している。現在は、地元1社が栽培する米などを販売しているが、今後は、ほかの農家の野菜なども扱い、上質な「夜久野産ブランド」の確立をめざしている。

 ECサイト「京都・夜久野清雫」を運営するのは、福知山公立大学情報学部2年の中上雄翔さん(19)と夜久野町平野のファームきぬがわ(衣川重人社長)。現在は、同社が生産するコシヒカリや黒大豆をそれぞれ「清雫」「黒ムラサキ」と名付け、サイト上で販売している。

 サイトの運用は今年3月から開始したが、今秋に収穫予定の米の注文数はすでに500件にのぼる。SNSを活用した広告の効果もあって、主な購入者は東京、大阪、福岡などの都市部が中心。サイトの運営に関わる同社従業員の衣川晴陽さん(28)は「最初は半信半疑でしたが、予想以上の反響に驚きました」と目を丸くする。

 同社は米や黒大豆のほか、西洋ニンジン、スイカなども生産するが、従来の販売ルートは農協(JA)や飲食店、道の駅などと限られており、一般消費者に直接販売する手段はなかった。

 衣川さんは「高い品質の農作物を作っているにもかかわらず、生活が立ち行かなくなり農家を辞められる方も見てきた。『良いものは良い』と正当な評価が受けられるシステムがあれば-と、よく考えていました」と話す。

良いものを適正価格で

 そんな中、衣川社長が知人から紹介を受けたのが、市内飲食店のSNS代理運営などの実績があった中上さんだった。現在、行っている主な業務は、サイト上での販売管理やブランド戦略の考案、ウェブデザインの更新などで、最近では、商品の発送時に使用するラベルを簡単に作れるプログラムを自主開発し、周囲を驚かせた。

 中上さんは「最初は自分の技術や知識が企業の役に立つとは思ってもみませんでしたが、実際に反響があり、数字が積み上がっていくと、力になれているんだなと実感できます。まだ2年生なので、今後も大学での学びをサイト運営にも生かし、夜久野町の農業に貢献していきたい」と意欲を燃やす。

 衣川さんは「購入者の中には『農家さんを応援したい』という思いで購入していただける方も多く、少し値段が高くても、安心と安全、そしておいしい農産物が求められていることを改めて認識できました。夜久野町にはまだまだ魅力的な作物がたくさんあります。ECサイトがそんな作物をたくさんの人に届ける助けとなり、夜久野町で農業をしたいと思う生産者が増えることにつながれば」と期待を寄せている。

写真(クリックで拡大)=ECサイトを運営する中上さん(左)と衣川晴陽さん

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