「発掘調査のポイントは土」 夜久野町稚児野遺跡を市民52人が見学
2025年04月24日 のニュース
京都府福知山市夜久野町井田に残る後期旧石器時代の遺跡、「稚児野遺跡」の調査現場を見学できる講座が19日に開かれた。市民52人が参加し、府埋蔵文化財調査研究センター職員による講演を聞いたほか、石器が出土した発掘現場を見学し、3万年以上前から残る遺跡への理解を深めた。
講座は、郷土の歴史や民俗などの学習を目的に、夜久野地域公民館(大本夏代館長)が主催する「ふるさと講座夜久野学」の一環で実施された。2部構成で、1部の講演は同遺跡近くの夜久野ふれあいプラザであった。
講師を務めた同センターの面将道さんによると、日本列島の土壌は酸性のため、旧石器時代の遺物は石器以外は、ほとんど残っていないという。
同遺跡では、島根県の隠岐諸島でしか採れない黒曜石や奈良県の二上山で採れるサヌカイトを使った石器が多く出土していて、「稚児野にいた人たちが自分たちで採取したかは不明だが、生活を成り立たせる上で重要な石器に対して強いこだわりがあったことがうかがえる」と解説した。
また、発掘調査では土を見るのがポイント-と指摘。出土した石器の年代を判断するには地層を見るのが有効だが、中でも火山灰は地層の年代を判断する重要な指標となる。
同遺跡には約3万年前に噴火した鹿児島湾にある姶良カルデラの火山灰の層が10センチほどの厚みで見つかっていて、それ以前の地層から出てきた石器が旧石器時代のものと示す根拠となっているなどと説明した。
第2部は、発掘調査現場に場所を移し、地層によって異なる土の色などを確認した。
面さんは「稚児野遺跡のような高所にある台地では石器などの遺物が表面に出土しやすい。大きな発見につながる資料が不意に見つかるかもしれないので普段から意識して生活してもらえたら」と呼びかけた。
参加した地元の女性(60)は「旧石器時代という、大昔から夜久野に人が居たということを知り、新たな地元の魅力が発見できました」と話していた。
写真(クリックで拡大)=発掘現場で地層ごとの色の違いを見学した