地元の伝統産業を知ろう 三和学園4年生、わら縄作りの現場を見学
2025年03月08日 のニュース
京都府福知山市三和町千束にある小中一貫教育校、三和学園(白米山雄生校長)の4年生11人が4日、わら縄を作る田尻製縄所(同町友渕)を訪れ、地域に残る伝統産業について学んだ。経営する夫婦から、製造方法やこだわりのほか、祇園祭の山鉾の組み立てに使われていることも教わった。
田尻製縄所は1960年に創業。現在は2代目の田尻太さん(74)、妻の民子さん(71)が営んでいる。独自の改良を加えた製縄機で、用途に合わせて太さの違うわら縄を、昔ながらの製法で仕上げている。
田尻さん夫婦が作る縄は、丈夫なうえにしなやかで、祇園祭の山鉾以外にも、文化財の修復や松の枝を雪の重みから守る「雪つり」に使われるなど、全国各地から依頼が舞い込んでくるという。
民子さんはこれらのほか、市内でも同町大原にある大原神社絵馬殿の屋根ふき、害虫駆除のため、三段池公園の松の幹に巻くこもなどにも、製縄所の縄が使用されていることを伝え、児童たちの興味を引いた。
祇園祭の山鉾用の縄は100メートルほどで巻いたものを1玉と呼び、それを500玉ほど納めるなど、「年中たくさんの注文があって、期限を守らないといけないから、暑い日も寒い日も、毎日朝から晩まで作り続けています」と苦労話も。
さらに「誇りをもって仕事をしていて、品質には自信がある」と胸を張るが、材料のわらが手に入りにくくなっているといい、鳥取や栃木まで調達しに行くこともある。それでも2人は「うちの縄が求められているので、体が動く限り続けたい」と話していた。
田尻さん夫婦の話に耳を傾けたあと、児童たちは製縄機で縄が作られていく過程、はみ出したわらを削り取る作業なども見学。完成した縄の美しさに、「オー」と歓声が上がった。
男子児童は「作っている途中で、縄が切れてしまったりして、最後まで完成させるのが、とても難しいことが分かりました。朝から晩まで作業することも知り、大変な仕事だなと思いました」と話していた。
製縄所の見学は、町の伝統文化、芸能、農業、歴史などを知る三和創造学習の一環。4年生たちは同日、龍源寺や梅田神社なども訪れた。
写真(クリックで拡大)=ちぎれた縄は手作業でつなぎ合わせる