大阪・関西万博 夜久野地域の特産「丹波漆」を出展 「金継ぎ」の実演など、伝統文化とまちのPRへ

2025年03月03日 のニュース

 京都府福知山市は4月に開幕する大阪・関西万博に、夜久野地域の特産「丹波漆」を出展する。割れた陶磁器を漆でつなぎ、金粉を施して修復する伝統工芸「金継ぎ」を実演。今回は特別に市内で出土した7世紀ごろの土器の破片を使い、歴史ある丹波漆と、今もなお、漆掻きなどの文化が根付く市のPRを図る。

 日本産の漆は漆芸の制作に加え、建造物や美術工芸品など文化財の修理に欠かせない。中でも1300年以上の歴史がある丹波漆の質は高く、古くから日本の伝統工芸を支えてきた。ところが、安価な外国産の漆が輸入されるようになり、全国で30を数えた漆の産地は次々と姿を消し、現在、国産漆を採取できる夜久野は、希少な生産地となっている。

 万博には6月に「関西パビリオン京都ゾーン」への出展を予定していて、同町平野の市営「やくの木と漆の館」(平岡明子館長)の職員3人が現地に赴き、金継ぎを実演する。

 また、会場では、漆掻きに使う道具や漆器の展示のほか、会場と夜久野の植栽地をオンラインでつなぎ、同町で活動するNPO法人丹波漆(高橋治子理事長)の職人が、ウルシの木から樹液を採る漆掻きを紹介する予定。

住民も文化学び 現地でサポート

 地域の特産の万博出展を一緒に盛り上げようと、地元住民たちも準備を始めている。

 市からの呼びかけに応じて、同町の住民組織、夜久野みらいまちづくり協議会の教育・文化・スポーツ部会(小田垣裕一部会長)の部会員が、丹波漆や金継ぎについて知る学習会を企画し、数人が万博会場でその体験談などを話すことにしている。

 2月25日夜に同館であった初回の学習会には10代から70代までの部会員20人ほどが参加。漆と小麦粉を練り合わせて接着用の麦漆を作り、割れた皿やカップなどの断面に慎重に塗る作業を体験した。

 参加者たちは「思っていたよりもとろとろしている」「繊細な技術が必要だ」など、初めて扱う漆への感想を思いおもいに口にしながら作業を進めた。

 学習会は全7回を予定していて、金継ぎ作品の完成をめざしながら知識を深めていく。

 小田垣部会長(50)は「地域の特産でありながら深く知らなかった漆について学べる良い機会ですし、今後はもっと地域に広めていけたら。また、万博に関われることも純粋に楽しみです。あくまで漆のプロである職員さんのサポート役ですが、地元住民の目線だからこそ伝えられることを考え、一緒に万博出展を盛り上げていきたい」と話している。


写真上(クリックで拡大)=万博で実演する金継ぎ
写真下(クリックで拡大)=学習会に参加する住民たち

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