学校の図書館蔵書管理をデジタル化 本の貸し出し、返却が簡単に 子の読書活動推進に期待

2025年02月06日 のニュース

 本の貸し出しや返却、蔵書管理を一括して行うシステムが、京都府福知山市内の市立小中学校の学校図書館(図書室)に導入された。貸し出し時には、カードにタイトルなどを手書きする必要があったが、導入後は本などに貼られたバーコードを読み込むと完了。読書傾向なども把握しやすくなり、子どもの読書活動の推進につながる-と期待される。

児童、生徒が本を借りる場合、本に備え付けのカードや、借りた本の場所に差し込んで元の場所に戻せるようにするための「代本板(ファイル)」に、自分たちで本のタイトル、貸出日などを記入していた。タイトルが長かったり、漢字が使われていたりすると小学1年生にとっては複雑な作業で、図書委員らが代わりに書くことで時間がかかっていたという。

導入後は、一人ひとりに配られたバーコードカードと本に貼られたバーコードを読み取るだけで手続きができ、時間短縮につながっている。

作業負担の軽減にも

学校司書や教職員にとっては、新しく購入した本を登録する際、タイトル、著者名、出版社名などの情報を図書台帳に手書きしたり、パソコンに入力する必要があったが、今後はタイトルや著者名などの情報を識別できる、本に印字された「ISBN(国際標準図書番号)コード」を読み取るだけで済む-などのメリットがある。

ふるさと納税基金を活用

市教委はこういった作業負担に加え、蔵書の廃棄や更新時期が分かりにくく、貸し出し傾向も把握しづらいという課題の解消にと、小学校13校と中学校8校で、ふるさと納税基金400万円を活用してシステムを導入。アナログ方式だった蔵書管理をデジタル方式に変更した。大江学園(大江小学校、大江中学校)は、2021年の開校時に同システムを導入している。

導入に向けて、各校では今年度、長期休暇などを利用し、学校司書や教職員が本一冊ずつにバーコードシールを貼ったり、古い本を廃棄したりするなどして図書室を整理し、順次利用を始めている。

中坂町の成仁小学校(山田珠美校長)では、夏休みに作業を完了させ、2学期から利用。休み時間には図書委員が図書室に待機し、持ってきた本と個人のバーコードの部分に、バーコードを読み取る機器「バーコードリーダー」をかざしていた。返し忘れている本があることが分かり、新たに借りようとしていた児童に「まだ返してない本があるよ」と教える場面も見られた。

図書委員長の6年生は「バーコードを読み取る作業が楽しい。返していない本があるときはすぐに分かるので、『返していないよ』とはっきりと言えるようになりました」と喜ぶ。

日新学区の小中学校を担当する学校司書、吉田淑子さんは「個人、学級、学年の読書冊数、ジャンルなどの傾向が一目瞭然で、指導に生かせます。また、返却忘れも防げる。ぜひ、図書室で本を手に取り、デザイン、大きさ、形、紙質なども含めて紙の本を味わってほしい」と話している。

山田校長は「借りやすくなることで、より多くの児童が本を読むベースができ、大変ありがたい。どんな本を借りているのかが分かり、子のニーズに合った本を準備しやすくなるので、読書意欲の向上につながる」と期待している。


写真(クリックで拡大)=貸し出し作業がスムーズになった(成仁小で)

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