愛された37年の歴史に幕 ドライブインやくの
2024年04月02日 のニュース
京都府福知山市夜久野町小倉、夜久野高原の国道9号沿いにある「ドライブインやくの」が3月31日、開店から37年の歴史に幕を下ろした。最終日は思い出に浸りながら買い物や食事を楽しむ多くの人でにぎわった。地元住民によるセレモニーもあり、これまで地域に寄り添ってきた店の最後に花を添えた。
前身の「夜久野観光センター」を引き継いだアシタ日和山(本社・兵庫県豊岡市、今津一也社長)が全面改装し1987年に開店。マイカー旅や長距離物流トラック、観光バスの休憩地として親しまれてきた。しかし、周囲の道路環境の変化や新型コロナウイルス禍の影響で経営状況が悪化。継続の道を探ったが、老朽化が進む店舗の先行きは厳しく、閉店が決まった。
当初はひっそりと終わるつもりだったが、閉店のニュースを両丹日日新聞が2月に報じてからは、平日、休日を問わず市内外から「最後にもう一度」と訪れる人が多く、来店者が2割ほど増えた。閉店1週間前の3月24日にはフードコーナーに注文の長い行列ができ、一時は自販機の取り扱いを停止するほどの繁忙ぶりとなった。
最終日も朝から多くの客が訪れ、車200台が止められる駐車場がいっぱいに。建物の写真を撮る人やレストランで食事をする人、土産を買う人ら、それぞれが思いおもいに過ごした。通勤時に必ず立ち寄っていたという運送業の藤原真一さん(53)=兵庫県朝来市=は「毎朝、ここで飲み物を飲んでから出勤するのが日課でした。閉店はとても残念です」と名残を惜しんだ。
■住民たちが花束、来店客が寄せ書き贈る■
店が協力してきた地元の祭りなどで関わりが深い夜久早百合さん(69)が「これまで頑張ってきてくれた従業員たちにお礼を伝える場を」と事前に申し入れ、最後に地元主催で催しが開かれることにもなった。
夜久さんが所属する和太鼓団体が演奏で盛り上げたあと、4時30分に店舗の明かりが落とされて営業が終了。入り口前でセレモニーが始まった。
従業員全員に花束が手渡されたほか、この日に店舗を訪れた人が思いをつづった寄せ書きが贈られ、従業員の中には涙を流す人も。店舗責任者の仲田博紀さん(64)は「開店から37年間、地域のみなさんとともに歩んでこられた店だったと思います。きょうで店は無くなりますが、頂いた言葉や思いを胸に、スタッフ一同それぞれの道を進んで参ります」と思いを述べた。
最後にその場にいた全員で「ありがとう、ドライブインやくの」と大きな声で感謝を伝え、店舗は長い歴史に終止符を打った。
写真(クリックで拡大)
・名残を惜しむ人たちで3月は大にぎわい(3月24日)
・住民たちから花束や寄せ書きが贈られた(最終日)