【敬老の日】福知山の元気なお年寄り(3) SLの清掃続ける93歳 山本偵二さん

2023年09月18日 のニュース

 社会に長年貢献してきた高齢者を敬愛し、長寿を祝う敬老の日。これに合わせ、各分野で活躍がキラリと光る、元気な京都府福知山市内のお年寄りを紹介する。3人目は93歳元機関士・山本偵二さん。

■恩返しであり生きがい 感謝の思いでSLの清掃続ける元機関士■

 旧国鉄時代からSL(蒸気機関車)の運転などに携わってきた人らで作る「福知山SL保存会」は、福知山市広小路通りの福知山鉄道館ポッポランド2号館にあるSL「C58 56」の清掃を40年以上続けている。その中の一人に、93歳になった今でも活動する元SL機関士の山本偵二さん=厚中問屋町=がいる。

 山本さんは1930年(昭和5年)、三重県生まれ。45年に旧鉄道省に入省し機関助士として経験を積み重ね、54年に福知山機関区に着任した。67年には同機関区の機関士に任命され、86年に引退するまでの間、福知山を基点に京都や大阪、舞鶴、鳥取方面へと日夜駆け巡った。

 機関士として活躍する傍ら、自ら発起人となり、82年に仲間とSL保存会を設立、初代会長を務めた。同保存会は旧北丹鉄道福知山西駅舎跡に置かれていたSLの清掃業務を行う市の委託組織として清掃をしてきたほか、市主催の鉄道イベントへの参加、福知山駅南口公園や8月にオープンした「福知山鉄道館フクレル」といった鉄道関連施設の開設にかかわるなど、市の鉄道に関する事業に数多く協力し、「鉄道のまち福知山」を牽引する。

 鉄道とともに激動の時代を生き抜き、一線を退いたあとも鉄道を通じてまちの発展に尽力してきた。今も続けるSLの年4回の清掃活動は「自分なりの恩返しのつもりです」と目を細める。

 「戦時中の日本は貧しく、機関車の掃除一つにしても掃除道具などはなく、荒縄をほどいて作った即席たわしを廃油に浸して車体を磨いていました」と新人時代を振り返る。

 試験に合格して機関助士となり、ようやく掃除から開放されるかと思ったのもつかの間、終戦後は復員した機関士が大勢いて、仕事がなくなり、再び掃除が仕事の庫内手に戻らされたという。それでも腐らず、その時自分がやるべき職務を全うしてきた。

 「思い返せば苦労も多かったですが、鉄道に携わりご飯を食べさせて頂き、楽しい思い出もたくさん作らせてもらいました。そんな鉄道への感謝の気持ち、『今まで、本当にありがとうございました』と思いを込め、毎回掃除しています」と語る。

 元気の秘訣は「体を動かすこと」。日課のウォーキングは毎日欠かさない。「SL掃除は私に与えられた最後の務めであり、生きがいです。この体が動く限り続けていきたい」と、笑顔で生涯鉄道マンを宣言する。

写真上から(クリックで拡大)
鉄道への感謝の思いを語る山本さん
SLと山本さん。掃除のときは決まってこの格好

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