116年前の修学旅行 網野から福知山へ徒歩で-紀行文を図書館で展示

2022年10月28日 のニュース

 京都府京丹後市にかつてあった網野尋常高等小学校に通う少年が、今から116年前の明治39年(1906年)に書いた修学旅行紀行文が見つかった。行き先は福知山市で、「惇明小学校」「天津」「雲ノ原(雲原)」と、市民には聞き慣れた言葉が並ぶ。現物とともに、福知山公立大学生の解説文も駅前町の市立図書館中央館で展示されている。

 紀行文は、代々丹後ちりめんの織元として知られる京丹後市網野町の田茂井家で、今年1月に発見された。書いたのは、網野信用金庫初代理事長を務めた田茂井巳津蔵氏(1893年~1979年)。尋常高等小学校時代、13歳の時のものだった。

 以前京丹後市役所に勤務して文化財保護や歴史書編纂に長年携わり、紀行文を田茂井家から預かった公立大地域経営学部の小山元孝教授(49)が、文中にある修学旅行の行き先が福知山市だったことに注目。 「福知山の人が見たら面白いのでは」と考え、福知山市が図書館のロビーで文化財を一般公開する「ロビーで文化財展」として共催することになった。

 紀行文の展示にあたって、小山教授ゼミの3年生4人が読みやすいように書き起こすなどした。

 修学旅行は3泊4日。網野町から70キロほど離れた福知山市まで歩いて来たこと、見物した現・惇明小学校が立派でびっくりしたこと、当時の陸軍工兵第十大隊関連施設を訪れたことなどが記されている。その後、鉄道で舞鶴、汽船で宮津、天橋立を遊覧して帰途に就く。

 解読作業にあたった3年生の中原友也さん=鳥取県出身=は、「ぱっと見た感じでは、すぐ読み解けるかと思ったけれど、詳しく見てみると難しかったです。文章がしっかりしていて、自分が同じ年の時にこれが書けたかと言われたら無理。力作です」と話す。

 同じく3年生の北原敦也さん=兵庫県出身=は「とにかく漢字が多くて13歳の作文ではないと思ったけれど、日記だから、読んでみると子どもっぽくて楽しいところもありました」とほほ笑む。

 小山教授は「戦争の状況に合わせた修学旅行の内容ですが、『雨が降ったから来たくなかった』と初日に漏らすなど、子どもらしい素直な言葉もある。こういった昔の実生活をのぞける機会はあまりないので、ぜひ見ていただければ」と話している。

 紀行文以外に日記帳も展示している。ロビー展の題は「ロビーで文化財 明治時代の福知山-修学旅行生が福知山にやってきた」。会期は11月10日まで。月曜日休館で、入館無料。

 

写真上=惇明小学校などの文字が達筆で書かれている修学旅行記
写真下=解説文を担当した公立大生

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