漆で鎧や兜がよみがえる―江戸時代の武具を展示 甲冑着付け体験も やくの木と漆の館

2022年08月25日 のニュース

■兵庫県朝来市の会社員が所有の兜や鎧など

 京都府福知山市夜久野町平野の道の駅、農匠の郷内にあるやくの木と漆の館(平岡明子館長)は9月4日から、「サムライの装い展」を開く。同館体験工房に長年通う武具収集家が、漆を使って美しくよみがえらせた江戸時代の鎧や兜などを展示する。総重量約30キロの鉄製甲冑の着付け体験などのイベントも計画している。10月25日まで。

 夜久野町は古くから良質の漆の産地。NPO法人丹波漆(高橋治子理事長)が、漆の木の植栽や漆かき、後継者育成を続け、府無形民俗文化財「丹波の漆掻き」の技術を守り伝える。その貴重な国産漆は、神社仏閣などの文化財や漆器、美術品の修繕に欠かせず、漆の奥深さを伝える狙いで企画展を開催する。

 出品するのは兵庫県朝来市在住の50歳代の会社員。子どものころから、代々受け継がれた武具に囲まれて育ち、「傷んでいた馬びしゃくを塗り直したい」と2002年に初めて来館した。作業は1回で終わると思っていたが、何工程もの地道な作業が必要だった。これを機に漆の魅力にとりつかれ、保管・収集する武具の修理に20年間、月2、3度通い続けている。

 ギャラリーに展示するのは甲冑3点や兜、陣笠、日本刀の外装・拵など計20点で、江戸時代のものが中心。一部が欠けたり、割れたり、表面にひびがみられるものが多かったが、同館スタッフのアドバイスを受けて、漆の塗り直しや蒔絵の技法で金粉を装飾し、きれいに仕上げた。

■武士気分堪能をと甲冑着付け体験も

 甲冑着付け体験は9月11、23日、10月9日、23日の4日間で、着用、写真撮影を楽しめる。出品者が所蔵するレプリカの鉄製甲冑は一日3人限定で、体験は500円。身長150センチ以上の人に限る。

 元丹波福知山手づくり甲冑隊の協力による紙製甲冑の着付け体験もある。これは一日6人限定で、だれでも無料体験できる。子ども用も用意する。

 いずれも予約優先だが、空きがあれば受け付ける。

 また、家紋キーホルダーの絵付け体験を、期間中の水、木曜日を除き、終日実施する。漆材は黒か赤、金粉で、描く家紋は10種類から好きな型紙を選べる。当日持ち帰ることができる。体験料は500円。随時受け付けるが、期間中に先着50人になり次第終わる。

 同館の高島麻奈美さんは「漆は塗料としてだけでなく、強い粘着力をもつ優秀な天然樹脂。約400年前の武具が、古いままの姿を残し、修理されており、見応えがあります。甲冑を着て戦国時代にタイムスリップし、武士気分を堪能してほしい」と来場を呼びかけている。

 ギャラリー、資料室のみの見学は入館無料。開館時間は午前10時から午後5時まで。水曜日休館。


写真=展示される修理を終えた甲冑

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