収穫されない規格外タマネギ、「拾い放題」イベントで地産地消
2022年06月17日 のニュース

福知山市篠尾新町の京都府府中丹西農業改良普及センターと市内のママ友グループ・フリママが、廃棄される規格外野菜を利用し、地産地消を促進する取り組みを始めた。第1弾の野菜はタマネギ。15、16両日に大江町内で、畑に転がる小粒サイズの拾い放題イベントをして人気を博した。
一般的に大きさ、色、形などが規格に適していない野菜の多くは、処分にかかる労力などを理由に出荷されずに廃棄される。
「隠れ食品ロス」とも呼ばれる規格外野菜の有効活用を探っていた普及センターの農業改良普及指導員、黒川真奈未さん(40)は、台所に立つ機会が多く、野菜への関心の高さに期待して主婦に熱いまなざしを向けた。
「主婦の方と連携できたら展望が開けるのでは」と考え、5月に市内で農家の収穫作業支援をしているフリママの西浜早織代表(41)に話を持ちかけて意気投合。トントン拍子で青写真を描き、センターが仲介する形で農家の規格外野菜をフリママが販売できる仕組みが出来た。
どうせなら消費者が楽しめる方法でと企画したのが「畑で拾い放題」だった。
今回扱った規格外野菜は、大江町波美の農事組合法人・鬼の里農園が金屋地区で栽培するジャンボタマネギ。畑には、機械収穫でこぼれ落ちた小粒サイズが畑のあちこちにゴロゴロと転がっていて、15、16両日のイベントには市内外の41人が、参加費700円で小型20リットルのビニール袋にタマネギをぎっしり詰め込んで持ち帰った。
参加した佐古田沙知子さん(38)は「タマネギは料理のかさ増しにも使う大衆の味方のはずなのに、一時期すごく高くて遠い存在になっていました。規格は気にならないので拾い放題は最高です」と喜んでいた。
イベント企画から広報、実施までをフリママが一手に担い、農家の負担がないことが利点の一つ。廃棄されていた野菜がもたらす利益で、農家もフリママもにっこり。消費者にも喜びが広がり、地産地消が進んだ。
黒川さんと西浜代表は「まさにSDGs(持続可能な開発目標)で、今後は違う農産物でもやっていきたい」とほほ笑んだ。
写真=規格外タマネギ拾い放題に大歓声