新作能「光秀」を初上演 福知山城で撮影して動画配信

2022年03月09日 のニュース

 福知山城を築いた明智光秀を主人公とする新作能「光秀」が8日、京都府福知山市内記一丁目の福知山城本丸広場特設舞台で初上演された。作中の光秀は、福知山で善政を敷き、主君を討ってでも天下太平の世を成し遂げたかった人物として描かれた。

 福知山市が、事業家の前澤友作さんから受けた寄付金500万円を、城を活用するまちの活性化アイデアの実現者に託す企画。全国から34点の応募があり、能楽師の上田敦史さん(48)=兵庫県丹波市=が提案した新作能が選ばれた。

 当初は平均倍率9倍で当選した観客100人の前で披露する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、主催者の市が無観客上演を決めた。8日に上演の様子を収録して、3月末から市の公式ユーチューブで、約1カ月の期間限定で公開する。

 新作能は、光秀没後の慶長5年(1600年)、旧友の細川幽斎とその息子の忠興が福知山城で亡き光秀をしのぶところから始まる。そこに現れた謎の老人が実は光秀の霊で、自身の半生を振り返り、親密であった主君・織田信長を討った本能寺の変に至る心境、光秀が敗れた山崎の戦いなどを幻の中に見せていく-とのあらすじ。

 民の生活のために税金を免除し、暴れ川の由良川の治水にも力を注いで福知山の領民に親しまれる存在であったことも作中で触れている。

 舞台上の役者、笛、鼓などプロの能楽師約20人、山崎の戦いの合戦シーンでは、丹波福知山手づくり甲冑隊(寺本吉勝隊長)をはじめとする丹波地方の甲冑隊員約30人が出演。丹波亀山鉄炮隊の火縄銃撃ち、チェロの演奏に合わせて光秀の娘の細川ガラシャ役が踊る創作舞もあった。

 昨年10月から練習を重ねた初上演を終えて、上田さんは「今回の新作能は今まで手掛けたものと違って甲冑隊など一般の方も一緒にやらせていただき、形にするまでに時間がかかったけれど、いろいろな思いを込めることができました。無観客上演となり申し訳ないが、映像でより多くの世に送らせていただきたい」と話していた。

 この日の天気は快晴。「光秀公の魂の慟哭を形にできたのではないでしょうか。きっと本当の光秀公も作中のようにおっしゃるのではないかと受け止めています」と上田さん。福知山甲冑隊の寺本隊長(74)も「参加できてうれしかった。光秀公も近くで見てくれていたはず」と目を細めた。

 

 

写真上=城本丸広場特設舞台で新作能を披露

写真下=丹波地方の甲冑隊も出演した

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