夜久野でシカの捕獲檻にクマタカ 絶滅危惧の「森の王者」

2022年02月15日 のニュース

 環境省のレッドリストで絶滅危惧種に掲載されているクマタカを、京都府福知山市夜久野町桑谷の農業、中島松治さん(67)が、地元の山林で見つけた。鋭いくちばしと爪を持つ大型の猛禽類で、「森の王者」と呼ばれる。山のふもとに設置された有害鳥獣捕獲檻(ほかくおり)に入り、捕まっていた子ジカを食べたらしい。市職員に写真を送り、クマタカであることの確認を受けたうえで檻から逃がした。

 クマタカはタカ目タカ科。体長は70センチ~80センチで、翼を開いた長さは140~170センチ。留鳥として府内にも生息するが、個体数は少なく、年々減っている。比較的険しい山地に生息し、肉食で森の中にすむ野ウサギなどを獲物として狩りをする。

 中島さんは地元の営農組合員で、1月15日午後4時ごろ、かんじきを履いて雪上を歩き、山のふもとに設置された有害鳥獣捕獲檻の見回りに行った。

 すると間口、高さ各1メートル、奥行き2メートルの檻のなかに、背中が茶褐色で、腹と翼の裏面がしま模様をした体長80センチほどの大きな鳥が入り、出ることができずじっとしていた。檻には食べ尽くされた状態の子ジカの骨もあった

 中島さんは登山愛好家で組織する居母山クラブに所属し、たびたび登山に出かけ、多くの野鳥に出会ってきたが、クマタカを見たのは初めて。「発見する2日前は檻の中は空っぽだった。檻の天井には1カ所だけ、他より広い30センチ四方の隙間があるので、恐らくそこから侵入し、わなにかかっていたシカを食べたのだと思う。鋭い眼光でにらみつけられて、恐ろしかった。檻の扉を開けて逃がすと猛スピードで飛び立ったが、精悍な姿を写真に収めることができた」と話していた。

 クマタカは、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧1B類に入る。

 野鳥に詳しい福知山市自然科学協力員の大槻浩さん(62)は「クマタカの生存には豊かな森林環境が不可欠で、府レッドリスト2021でも絶滅危惧種になっています。山が雪に覆われて、餌が捕れなくなると、里に降りてくることがあって、由良川沿いで冬に3回ほど見たことがありますが、夜久野町での確認は貴重な記録です」と話していた。

 

 

写真=檻から逃がした際に中島さんが撮影したクマタカ

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