有害鳥獣対策にICT 福知山市のモデル地区で大きな成果
2022年02月12日 のニュース

今年度から本格始動している京都府福知山市のICT(情報通信技術)を活用した有害鳥獣対策が、成果を上げている。モデル地区の夜久野町直見での捕獲実績は、1月までで18頭(シカ16頭、イノシシ2頭)となり、昨年度の0頭から一気に増えた。
直見地区にある大岶、桑谷、西垣の3農区が主体となり、ICT有害鳥獣対策で連携する市と兵庫県立大学が支援。3者で毎月のワークショップも重ねて活動してきた。
まず見直したのが捕獲檻・柵の管理体制。侵入防止柵の点検回数を増やし、老朽化や故障で使えなかった捕獲檻・柵4基を住民が修繕。効果的な設置位置も考えて、現在は計10基が稼働している。
毎日の見回りの様子は、グループチャット機能を使ってスマホで各自へ即時に届く。3農区を管轄する直見中地区営農組合の中島松治組合長は「スマホを見たら現地のことがぱっと分かるから情報共有がしやすくなった」と話す。
捕獲檻・柵周辺の様子をビデオ録画で確認できるセンサーカメラの映像からは、誘引の餌で使っていた野菜の残りかすに、目的のシカが来ず、タヌキなどの小動物を引き寄せていたことが判明。誘引物をシカが好む米ぬかに変えた。

また、熱源センサーに反応して柵が落ちる箱わなは2基を新たに設置している。捕獲実績はまだだが、子ジカだけが先にわなにかかり警戒した親ジカを取り逃してしまうことがないよう、センサーの位置を親ジカの背丈の高さに設定して、親子一網打尽を狙っている。
市農林業振興課の鳥獣対策専門員・望月優さんは「ICTの活用で様々な情報が可視化されて取り組みがしやすくなった。地元のみなさんの活動が活発なことが最大の決め手で、捕獲実績が上がったことでモチベーションは高まっています」と手応えをつかむ。
モデル地区事業は三和町川合でも進めており、市は、他の地域でも展開できるようにノウハウを蓄積していく。
写真上=住民が修繕し、再稼働した檻でシカを捕獲
写真下=センサー付き箱わなの前で誘引方法について学習した