住民が高齢者の困りごとを一緒に作業 夜久野の「ささえさん」
2021年05月19日 のニュース

「ささえさん」と呼ぶ有志の協力者が、依頼を受けた高齢者宅に出向き、福祉制度では対応できない作業をする「暮らしのささえ愛」事業が、4月から京都府福知山市夜久野町で始まった。現在、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令中で、活動を見合わせているため、利用実績は4件にとどまっているが、「依頼者と一緒に活動する」のが原則で交流も深まっており、高齢者からは「気軽に利用でき、また頼みたい」と好評だ。
事業は、住民参加で高齢者や障害者の困り事を解決する有償ボランティア活動で、福知山市夜久野町の夜久野みらいまちづくり協議会(衣川裕次会長)が事業主体。
夜久野ふれあいプラザ内に事務局を置き、利用者と協力者の仲介をする。利用は1時間程度500円。依頼があれば、スタッフが事前に現地を訪ねて作業内容を確認・集金し、作業に合った協力者に指示。作業終了後、活動費として商品券を渡す。
昨年6月に組織した設立準備会(上山昭雄代表、14人)が町内各地を回って参加協力を呼びかけ、「ささえさん」は順調に増えて現在79人に。福祉関係者らから研修を受けて活動の基本を学び、オレンジ色のユニフォームの無償貸与を受け、待機している。
4件の利用実績を見ると、一人暮らしの高齢者からの申し込みが多い。電気工事の資格所持者が、不具合があるコンセントの取り替えをしたのが第1号。その後、軽トラックを使った不要な図書の搬出や家庭菜園のマルチシートの撤去、家の敷地内の草刈りをした。
今は活動を控えているが、協議会では「足が不自由なため散歩の付き添いを」「目が不自由なので購入した本を朗読してほしい」「都市部にいる日が多いので草刈りや除雪をお願いしたい」などの依頼を受けている。宣言解除後に活動を再開する。
事務局の福祉・あんしん部会の夜久昭広部会長は「将来に向け、だれもが住み慣れた地域で安心して暮らせる体制をつくるのが目的。専門技術が必要な場合や危険を伴う作業は断る場合もありますが、一人ではどうにもならないと悩んでいる方も多く、孤立を防ぐためにもできる限り対応したい」と話していた。
困り事の相談、利用申し込みや協力者の登録は随時受け付けている。事務局は電話080・7736・7156。平日の午前9時から午後5時まで。
写真=畑のマルチシートの撤去をするささえさんと依頼者