「春の女神」が羽化 ギフチョウおめざめ
2021年03月02日 のニュース

京都府レッドデータブックで絶滅危惧種とされているギフチョウの羽化が、昨年より10日早く福知山市厚中問屋町の大地洋次郎さん(80)宅で始まった。「春の女神」と呼ばれ、これから暖かさが増すと、次々と成虫が姿を現す。
日本の固有種で、アゲハチョウ科の仲間。黄色と黒色のしま模様に、赤、青、オレンジ色の紋が入った羽が特徴。府南部では保全が行われている1カ所しか産地がなく、「比較的良好な状態」とされる北部でも、シカの食害による植生単純化などにより激減している。大地さんは自宅にしっかりとした小屋を建て、31年前から飼育を続けてきた。
今年の第1号は1日午前8時30分ごろに羽化。大地さんが飼育箱を見て確認した。昼までに別の2匹も成虫となった。いずれも雄だった。
羽を広げた大きさは6、7センチ。羽化は4月初旬まで続く。成虫は小屋に移され、中にある食草のカンアオイに卵を産み付ける。今年は150~200匹が成虫になると見ている。
大地さんは「このところ暖かい日が続いたので、羽化が早まったのでしょう。しかしこんなに早いのは珍しい。新型コロナウイルスに関わる緊急事態宣言の解除とともに、みんなに美しい姿を見てもらおうと羽化を早めたのかも」と話す。毎年、希望者に公開している。
写真=サクラソウに止まるギフチョウ(2日午前9時35分ごろ)