都市部に近く、ほどよい田舎で暮らしやすい福知山 コロナ禍で移住者増える

2021年02月12日 のニュース

 新型コロナウイルス禍で地方移住への関心が高まり、京都府北部の福知山市へ都市部から移り住む人が増えている。昨春の緊急事態宣言以降、空き家の所有者と賃借希望者をつなぐ「市空き家バンク制度」を利用した移住世帯は、前年度比1・7倍の19世帯。移住希望は2・5倍の180世帯に上る。

 市は、大阪、神戸や京都市内など都市部に比較的近い地理条件、都市機能と田舎の自然がほど良く融合して、仕事、買い物、子育てなどに必要な環境が近場にある住みやすさをまちの長所に挙げる。

 2009年以降の市の移住者情報によると、京都府内を含む近畿圏からが全体の8割強を占める。昨春の緊急事態宣言以降も近畿圏からの移住が多い傾向は変わらないが、19世帯のうち少なくとも5世帯は、コロナがきっかけで都会を離れて地方へ移住したいという理由だった。

 感染拡大防止の外出自粛などで福知山に行けない移住希望者のために、遠隔地から物件を確認できるオンライン内覧会にいち早く取り組んだことも奏功したとみられる。

■空き家バンクの登録数も増える■

 移住希望の需要が高まるなか、供給側の空き家バンクへの物件登録件数も増えている。今年度は2月1日時点で年間過去最多の40件となっていて、制度開始から12年の登録総数237件の6分の1相当になる。
増加の主な要因について、市まちづくり推進課移住定住促進係は「空き家の所有者も都市部の方が多く、コロナ禍での収入減や支出抑制を考えた時に、『地方移住』や『空き家バンク』という言葉を報道などで耳にする機会が増えて登録されるパターンが、感覚的にですが多いと思います」と分析する。

■「子育ては田舎で」と東京に勤務先にリモートワーク■

 昨年3月に東京都から福知山市三和町上川合に移住した広告制作会社クリエイティブディレクター・コピーライターの公庄仁さん(40)は、移住前の仕事をリモートワークで実践している。

 福知山出身の妻が田舎で子育てをしたいと、2019年に妻子でひと足早く帰郷。公庄さんは福知山と東京の二拠点居住生活を送っていた。

 昨春に東京で感染拡大したことで、会社がテレワークを導入する方針を示したことを機に、福知山でのリモートワークに踏み切った。

 福知山のお気に入りの風景は、妻の実家近く、筈巻の田園にある長く真っすぐ伸びたあぜ道。東京の殺伐とした満員電車とは別世界で、「心の解放感は想像以上」と話す。

 福知山の人の温かさにも感謝する。「よそ者の僕ですが、いろいろと声をかけてもらえる。福知山に来て良かった」と目を細める。

 同課移住定住促進係は「都市部からの移住希望者が増えている。今後もこの傾向が続くとみていて、さらに移住促進に取り組んでいきたい」と意気込む。


写真=お気に入りのあぜ道を歩く公庄さん

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