不老長寿と伝わる果実「ムベ」 夜久野で特産化めざす
2019年05月06日 のニュース
京都府福知山市夜久野町の山間にある西垣自治会(羽上田良和自治会長)が、少子高齢化が進むなかでの地域活性化策として、アケビ科のつる性植物・ムベの栽培に取り組んでいる。赤紫色の実が「不老長寿の果物」と伝わり、「福知山市のエエもん認定を受け、特産化を進めたい」と意欲をみせる。
ムベは、生野(滋賀・近江八幡)に出かけた天智天皇が、出会った元気な老夫婦から長寿の霊果として差し出された実を食べ「むべなるかな(もっともだ)」と言ったことが名前の由来という。
西垣では、地元の中島則明さん(65)が、地域の活力を生み出す交流の場づくりに、「全国的に珍しいムベの特産地をつくろう」と提案。地元の人たちが集まり、休耕田を開墾した広さ7アールの「ムベ農園」に一昨年12月、高さ約1メートルの幼木約100本を植え付けた。
実の収穫までに3年程度かかるが、昨年は10本の木に、バナナの皮をむいたような形状の小さく淡い黄色の花が付き、鶏卵よりひと回り大きい5つの実を初収穫した。今年も順調に生育し、昨年を大幅に上回る90本近くに花をいっぱい咲かせた。
4月27日には結実を安定させるために人工授粉作業をした。さらに、新芽が山菜として利用できるため、シカ肉を扱う同町門垣の有限会社田舎暮らしの中島健太郎さんらの協力も受け、ジビエ料理に使ったり、天ぷらにして試食した。
実はアケビと違い、熟しても割れないのが特徴。ほんのりと上品な甘さがあって食べやすい。生食だけなく、果実酒にも使えるという。11月ごろ、100個を収穫するのが目標。
中島則明さんは「地元には休耕田がたくさんあるので、安定供給ができるように農園を増やすように努力したい。これから実のいろいろな食べ方をみんなで考えて、2次、3次加工食品の開発もできればと思っています。ムベで古里を元気にするのが目標です」と意気込んでいる。
写真=ムベの人工授粉の作業をする住民たち