介護現場で働く95歳講演 「仕事に誇りを持って」
2026年05月24日 のニュース

80年近く看護と介護の現場で働いてきた細井恵美子さん(95)=社会福祉法人楽慈会山城ぬくもりの里顧問=が20日、京都府福知山市榎原の社会福祉法人成光苑サンヒルズ紫豊館(岩吹泰志施設長)で行われた人権研修で講演し、虐待防止に関する助言や施設利用者との関わり方などを話した。
細井さんは与謝野町出身で、17歳で看護師として病院勤務。その後介護の道に進み、木津川市の特別養護老人ホーム山城ぬくもりの里で70歳から10年間施設長を務めた。顧問となった現在も利用者と話すなど、介護現場に携わっている。
人権研修には同法人が運営する紫豊館と岩戸ホーム=猪野々=の職員約30人が参加し、介護職の大先輩の話に耳を傾けた。
細井さんはパワーポイントを操作しながら進行。介護職に関して、「医療はこれ以上何もできないという限界がある」が、介護は利用者の生活の質を高めるために限りなく力量を発揮できる職業という、ある大学教授の言葉を引き合いに出し、仕事に誇りを持つことを伝えた。
具体的な事例を示しつつ、利用者の行動を制限するため大きな声を出してしまった職員がいたことを取り上げ、その職員が細井さんに相談しに来たことがあり、「相談に来てくれて話ができたことは良かった。良くないのは、話すことをせず、そういったことが積み重なること」と強調。困難な問題の解決は仲間同士で話し合い共有することで、まず自分自身の気持ちが整理でき、そのことがチーム内の信頼関係を深め、ケアの質が高まり、他のスタッフも互いに学ぶことができる-と、虐待防止につながるヒントを伝えた。
さらに「虐待、拘束はしてはならない。そういうことはありえない施設に」と呼びかけた。
共に生きているという気持ちで
利用者との関わり方については、体温を測る前や風呂に行く前には、利用者に安心感を与えるため「なぜそのことをするか、何のためにするかを言葉で伝えてから行動に移してほしい」と要望。「利用者に受け入れてもらっているか、心に寄り添えているかということを確かめながら、考えながらケアをしてほしい。いいケアができたときは何よりも自分が癒やされる。共に生きているという気持ちで介護の道を歩んで」と後輩たちに助言した。
こういった考えに至った根底には、戦時中の苦い経験が絡んでいる。
尋常高等小学校時代、徴兵の労働力不足を補うための学徒勤労動員で西舞鶴や天橋立などの駅で清掃などをさせられた。親や先生からは「光栄なこと」と諭されたが、クラスの女子でただ一人選ばれたことに疑問を持っていて、内心は反発していた。「知らないところで決められ、理由も聞かされなかった」ことが心に残っている。そういう思いが、利用者に何かしてもらう前に、必ず言葉をかける習慣につながっているという。
講演のなかではよく聞かれる健康の秘訣も話した。それは毎日三食、できるだけ自分で作っていること。「自分で味付けした方がおいしいから。お皿を並べてスマホで撮って知り合いに送っている」というエピソードも明かし、場を和ませる場面もあった。
岩戸ホームの達脇博人施設長は「(利用者の)人生にしっかり伴走していく仕事だと学びました。学んだことをしっかり受け止めたい」と感想を話していた。
写真(クリックで拡大)=長年の経験を基に話す細井さん








