和紙の原料「トロロアオイ」 栽培農家減少で大江町の住民が栽培 田中製紙へ提供
2025年11月13日 のニュース
近年、和紙の製作に必要不可欠な植物トロロアオイの栽培者が減る中、京都府福知山市内で唯一、手漉き和紙づくりをする大江町二俣一の田中製紙工業所(田中敏弘代表)に12日、町内の住民がトロロアオイを届けた。
トロロアオイはアオイ科の植物で、根の部分を潰すと出てくる粘り気のある成分のネリを、和紙の原料となるコウゾの液に混ぜて使う。ネリを混ぜることで繊維が液の中で均一になり、紙の厚みや強度を安定させる役割を果たす。
工業所では、主に栃木県からトロロアオイを取り寄せているが、同町佛性寺の小澤五男さん(70)が栽培農家が減っている現状を知り、少しでも役立てばと、5年前から育て始めた。2年前からは二俣二の佐古田恵さん(60)も栽培を開始。根の部分を工業所に届けている。
今年は2人とも6月末に畑に種をまき育成。今夏は猛暑だったが、小澤さんは西日の当たらない場所で育て、佐古田さんは畑に遮光ネットをトンネル状に取り付けて、暑さよけとした。
約4キロの収穫があった小澤さんは「今年は太い根に育ちました」。佐古田さんは約15キロを確保し、「昨年より栽培面積を増やしたので、たくさん取れました」と話していた。
工業所は栃木県の農家から約100キロのトロロアオイを取り寄せる計画で、田中代表(63)は「地元の方にも助けていただきありがたい。有効に使わせていただきます」と喜んでいた。
写真(クリックで拡大)=収穫されたトロロアオイを見る小澤さん、佐古田さん、田中代表(左から)








