40年前の記憶から学ぶ防災 三和小4年生が台風の被害現場を巡り理解を深める

2025年11月03日 のニュース

 京都府福知山市三和町千束の小中一貫教育校・三和学園(藤森和夫校長)の小学4年生8人が29日、約40年前に古里を襲った台風10号による土砂崩れなどから防災を学ぶ授業を行った。当時を知る地域の案内人のもと、砂防ダムなどを見て回り、災害の歴史や防災の重要性について理解を深めた。

この授業は、古里について学ぶ「三和創造学習」の一環で実施。消防団員として当時の救助活動にあたった中出地区の河野正一さん(73)が体験談を語り、地域講師の吉田武彦さん(67)が解説役を務めた。

台風10号は昭和58年(1983)9月28日に福知山一帯を襲った。三和地域では総雨量338ミリ、最大時間雨量76ミリを記録し、住家倒壊8戸、浸水139戸と大きな被害が出た。同町西松地区では山崩れに巻き込まれた70代男性1人が亡くなった。

緊迫の救助活動 真剣な表情で聞く

児童たちはまず、同町中出の梅田神社を訪れ、そばを流れる細見川を見学。台風で流された橋に代わって新設された橋を見て回り、当時の川幅は今の半分ほどで、災害での氾濫を受けて拡幅されたことなどを聞いた。

その後、バスに乗って、西松の山崩れが発生した地点に移動し、現地を見ながら河野さんから救助活動の話を聞いた。

河野さんは「現場では多くの消防団員が行方不明の男性を探していましたが、家のあった場所には大きな木が倒れ、その上に土砂がのっていました。いったん休憩していると、誰かが土砂の中から長靴が出ているのを見つけ、急いで引っ張ってみると探していた男性でした。自分の顔見知りの方でもあり、今でも当時のことが忘れられません」と振り返った。

災害後、西松をはじめ、同町内には砂防ダムが建設され、同年以降は大きな災害が発生していないことにも触れ、「亡くなられた男性のご家族の方は『もっと早くに工事ができていたら命が奪われることはなかったのに』と話されていました。みなさんにはこうした地域の歴史を知ったうえで、今後もどうしたら災害が少なくできるか、対策を考えていってほしい」などと語り、児童たちが真剣な表情で耳を傾けた。

その後、児童たちは砂防ダムや災害の歴史を今に伝える石碑なども見学した。

女子児童は「今まで知らなかった災害の歴史を知ることができました。砂防ダムの話も聞いて、災害が起きる前に対策をすることが大切だと思いました」と話していた。

写真(クリックで拡大)=河野さん(右)から当時の災害の話を聞く児童たち

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