稲穂を神前に 能楽師3人が「神歌」奉納 元伊勢内宮神社で
2025年10月17日 のニュース
京都府福知山市大江町内宮の元伊勢内宮皇大神社(後藤公一宮司)で16日、「稲穂能楽奉納祭」が営まれた。同町毛原で取れた稲穂を神前に供え、3人の能楽師が謡「神歌」を奉納した。
元伊勢能実行委員会が主催。農業と芸能が密接だった古式の営みを伝えるため、2年前から春と秋に能楽を奉納している。今年も5月に毛原での御田植祭で披露した。
拝殿で執り行われた稲穂能楽奉納祭には約30人が出席。後藤宮司が祝詞を奏上した。能楽は重要無形文化財総合認定保持者で、観世流シテ方の林喜右衛門さん(45)と松野浩行さん(51)、人間国宝で大倉流小鼓方の大倉源次郎さん(68)が奉納した。
奉納した神歌は天下太平、国土安穏、五穀豊穣を祈る謡で、林さんと松野さんが謡い、大倉さんが小鼓を打った。拝殿内は張り詰めた空気に包まれ、出席者たちがみやびやかな声と音色に聴き入っていた。
大倉さんは奉納後のあいさつで、小鼓の胴の部分に描かれている稲の切り株について「これは農業を大切にするという日本の文化を表している」と説明。「今後も祭りで、農業(稲作)が安全な日本を象徴する職業であることを伝えていきたい」と述べた。
写真(クリックで拡大)=拝殿で謡を披露する3人