国際学会で最優秀論文賞 福知山公立大衣川准教授ら、地方大から世界をリード
2025年10月11日 のニュース
新たなサイバー攻撃 現実性を実証
福知山公立大学情報学部の衣川昌宏准教授(44)の研究グループが発表した論文がこのほど、環境電磁工学分野で世界最高峰の国際会議の一つ「EMC Europe(イーエムシーヨーロッパ)2025」で最優秀論文賞を受けた。全278編のうち最も優れた1編に贈られる賞で、日本からの受賞は初となった。
衣川准教授は兵庫県養父市出身で、福知山市東羽合の京都共栄学園中学・高校を卒業後、東北大学などで電磁波と情報セキュリティーを掛け合わせた分野を中心に研究。2014年ごろから電子機器への不正攻撃をテーマとした研究を奈良先端科学技術大学院大学の教授らと始めた。
論文では、パソコンやスマートフォンなどの電子機器に使われるCMOS集積回路に、2種類の電磁波を組み合わせてあてることで、外部から確実にデータを注入できる「二波注入技術」を世界で初めて実証した。この手法により、遠隔から電子機器の動作を正確に変えることができる可能性を示した。
この成果は、情報機器などに潜む深刻なセキュリティー脆弱性を明らかにし、今後の情報社会における安全性確保に向けて、より強固な電磁防御技術の開発を促す重要な役割を果たすという。
衣川准教授は昨年、環境電磁工学分野において、「EMC Europe」と同様に「トップカンファレンス」に位置づけられる「IEEE(アイ・トリプル・イー)EMC Society」でも最優秀論文賞を受けており、2年連続の快挙となった。
国際会議は9月にフランスのパリであり、衣川准教授は「地方大学からでも世界をリードする研究成果を発信できることを証明できたことをうれしく思います。今後のセキュリティー対策や産業界への応用につながり、地域社会から世界へと貢献できれば幸いです」とコメントした。
写真(クリックで拡大)=最優秀論文賞を受賞した衣川准教授(右から2人目、福知山公立大学提供)