「見た目はモダン!中身はレトロ!!」福知山シネマでこうのさんがコナン描く

2025年07月02日 のニュース

 「この世界の片隅に」などで知られる京都府福知山市在住の漫画家、こうの史代さん(56)によるライブペインティングが6月29日、広小路通りの映画館「福知山シネマ」で行われた。映画にちなんだキャラクターを描こうと、上映中の「名探偵コナン」を遊び心いっぱいにオマージュした作品を懸垂幕に描く様子が披露され、市内外から訪れたファンらが制作の様子を見守り、完成に拍手を送った。

 懸垂幕は縦3メートル、横76センチ。主人公のコナンとヒロインの毛利蘭が登場する。こうのさんの画業30周年を記念し、市佐藤太清記念美術館で開催中の展覧会を鑑賞していた2人が、劇場版の上映に間に合うよう福知山シネマへ急ぐ、という設定で描いた。

 コナンは「しまった。美術館でついチンタラしちまった。上映時間に間に合うか…!?」とスケートボードで疾走し、走る蘭のそばには「見た目はモダン! 中身はレトロ!! この街に映画館はいつもひとつ!!!」と、コナンの名セリフをアレンジしたフレーズが添えられ、ユニークに映画館の魅力を伝えている。

 こうのさんは下描きから始め、休憩時間には映画館のポップコーンを口にしながらも、集中して筆を進めた。誤ってインクを落とす場面では、見学者からどよめきが起こるなど、臨場感ある“生”の制作風景が楽しめた。

 余白には「ちょっとさみしいね」とつぶやきながら、市の花・キキョウを描き加え、作品は約4時間をかけて完成。この間、延べ約200人が訪れたが、仕上がった時には約40人が見守っていて拍手が湧き起こった。最初からずっと見ていたという京都市の男性ファンは「福知山に住んでおられると初めて知りました。短時間で仕上げられていて、さすがの集中力でした」と感心していた。

 報道陣の取材に、こうのさんは「家で描いているのと同じような感覚で、こんなに人がいるとは思わなかった」と驚きを交えつつ、「スピード感を大事に、気楽に楽しめました」と笑顔で語った。

 オマージュにコナンを選んだ理由については、「多くの人に親しまれていることに加え、私自身が作品を尊敬し、好きだったから。絵柄も近くて描きやすかった」と話し、「楽しんでいただけたようでうれしい」と振り返った。

 同シネマの細川龍作さんは「コナンを描くとは聞いていましたが、実際に見ると『本当に描くんだ』と驚きました。こうのさんのファンも、コナンのファンも驚く作品になったと思います。ぜひ見てほしい」と話していた。

 ライブペインティングは、展覧会と連動した企画「こうの史代まちなかお絵かきプロジェクト」の一環。名探偵コナンの原作者・青山剛昌さん側に、オマージュの意向を事前に伝えているという。

 これまでに同シネマの外壁には2枚の懸垂幕が掲示されており、今回の作品はそのうちの1枚と入れ替える形で、8日から掲示される予定。

 

写真(クリックで拡大)=ライブペインティングの見学者と作品の完成を喜んだ

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