美しい日本の風景を後世につなぐため― 亡父の風景写真を作品集に 中出身の塩見さん
2025年06月02日 のニュース
京都府福知山市中出身の会社員、塩見英一さん(55)=千葉県=は、父の勝彦さん(享年79)が残した風景写真の作品集を発行した。福知山市内を含む北近畿の写真がほとんどで、四季折々の58枚を厳選。「美しい日本の風景を後世につなぐため、何ができるのか考えるきっかけになれば」と、環境保全への思いも重ねる。
本のタイトルは「自然の声を聞く~父の写真とともに」。府立高校の国語教諭だった勝彦さんは、退職後に本格的に写真を始めた。福知山や綾部、舞鶴各市、伊根町などで、自然の景色を被写体に、撮影を続けてきた。
綾部市美術展の特選、福知山市展での奨励賞、舞鶴市展の優秀賞など受賞歴も多い。中丹地域のたんぽぽ写真クラブに所属し、2年前に亡くなるまで、撮影のため精力的に各地へ出向いていたという。
英一さんは、父が写真を趣味にしていることは知っていたが、じっくりと写真を見たのは、他界してから。「一生懸命撮った父の写真を、写真集などの形で残したい」という思いは抱いたものの、自分の作品ではないため、発行にはためらいがあった。
しかし、ある日のふとした瞬間に「父が残したのは写真だけど、本当に残したかったのは、そこに写る美しい日本の風景だったんじゃないか」との考えが浮かんだという。
工場の生産性改善などに取り組むことで、地球温暖化を防ごうと、2023年に技術士の資格を取得した自身の思いと重なった。自然環境の破壊が進むなか、美しい風景を見て、地球の未来について思いを巡らせてもらえれば-と、作品集を出版することにした。
冬の三段池、朝日に照らされる大江山のほか、京丹後市の海を被写体にしたものなど、英一さんが厳選した写真を掲載。「一人でも多くの人に、父の写真を見てもらいたい。さらに古里の福知山を含め、北近畿の観光誘客にも貢献できれば」と話している。
縦、横各150ミリの小型サイズで、定価は2750円(税込み)。インターネットでの販売のみ。
出版元・虹色社の書籍販売サイト、通販サイトのamazon(アマゾン)で取り扱っている。
写真上(クリックで拡大)=作品集を持つ塩見さん
写真下(クリックで拡大)=福知山の風景がたくさん載っている