狛犬の起源や特徴学ぶ 今西神社で現地学習も
2025年06月01日 のニュース
神社の境内などで目にする「狛犬」について学ぶ講座がこのほど、京都府福知山市夜久野町今西中の「今西中構造改善センター」で開かれた。約40人が参加し、地域史研究家で丹波市文化財保護審議会の副会長を務める山内順子さんから、狛犬の起源や同町に残る像の特徴などを学んだ。
講座は、郷土の歴史や民俗学習を目的に夜久野地域公民館が主催する「ふるさと講座夜久野学」の一環で開かれた。
山内さんは狛犬の起源について、「約4千年前のメソポタミア文明にまでさかのぼり、大切なものを守るため、強さの象徴であったライオン像を一対で置いたことが始まりとされています。その思想が仏教にも取り入れられ、日本を含むアジア全体に伝わりました」と、定説を紹介した。
講座では、夜久野町内に残る狛犬の紹介もあり、同センター横にある今西神社と、高倉神社=日置=、熊野神社=大油子=、宇徳神社=板生=を例に挙げて解説。中でも今西神社の狛犬は江戸時代の嘉永6年(1853)に奉納されたもので、「夜久野町が産地の『夜久野玄武岩』で作られていて、地域を代表する狛犬と言ってよいと思います」と解説した。
また、大きな丸い目や団子鼻、横に大きく開いた口など、愛嬌のある顔部分の意匠は、大阪南部の狛犬に多く見られるとする一方で、尾の部分は島根県で多く生産される石で作られた狛犬の特徴があるといい、「夜久野地域が、今の大阪方面や日本海側からも人々が往来し、文化が交わる場所だったことを物語っているようです」と話した。
講演後には、参加者たちは今西神社に移動して実際に狛犬を見学。山内さんから教わった特徴などに注目しながら、じっくりと観察したり写真を撮影したりしていた。
写真(クリックで拡大)=狛犬の意匠などを観察した