夜久野町の特産「丹波漆」を未来へ 福知山の変9人目は漆掻き職人
2025年03月22日 のニュース
京都府福知山市夜久野町の特産「丹波漆」を守り、伝統を受け継ぐ漆掻き職人の山内耕祐さん(37)が、市のPR企画「福知山の変」の9人目に選ばれた。12年前に移住し、職人になったばかりの頃に植えた漆の木とともに写ったポスターを手に、「価値のある仕事を消してしまわず、地域資源として活用していきたい」と笑顔を見せる。
福知山の変は、挑戦し、まちを変えていく人を「変化人」として応援する企画。オリジナルポスターを制作し、紹介している。
山内さんは富山大学芸術文化学部在学中に、漆工芸を学ぶなかで原料に興味を持ち、産地の夜久野町を訪れ、後継者不足やウルシの木の減少で消滅の危機にあることを知った。卒業と同時に移住し、当時26年ぶりの漆掻き職人となり、府無形民俗文化財に指定されている「丹波の漆かき」を継承している。
現在はNPO法人丹波漆の理事を務め、木の植栽、後継者の育成などの活動に汗を流す。夜久野の漆の再生に向け、木に適した土壌や生育法などの試行錯誤も続く。「漆があることで人と山との関係が生まれ、地域の保全にもつながります」と言う。
ポスターの木は約10年の年月をかけて育てたもので、漆液を採取するために掻いた傷も並ぶ。着用したシャツは液採取後のウルシの木で染めたもの。漆を通じた人と自然のつながりを伝える一枚に仕上がった。
国際森林デーである21日、夜久野町平野の「やくの木と漆の館」でポスターのお披露目があり、山内さんは「多くの方々のおかげで、漆に関わる活動を続けてこられたと改めて感じました。漆の再興はまだ道半ばで、やるべきことはたくさんありますが、漆が地域に役立つものになるよう、模索を続けていきたい。今回を機会に丹波漆や文化をみなさんに知ってもらいたい」と話した。
併せて、寄付額の一部がウルシの苗木の植樹につながる市のふるさと納税の新プランも発表され、山内さんが記念植樹をした。ポスターは今後、市内各所で掲示する。
写真(クリックで拡大)=ポスターのお披露目をする山内さん(きょう午前10時30分ごろ)