防災対策に役立てれば―地元企業の協力を得て雨量計と水位計製作し設置 公立大研究センター
2022年09月26日 のニュース
京都府福知山市西小谷ケ丘、福知山公立大学の付属機関、地域防災研究センター(横山泰昭センター長)は、市内の小河川流域に簡易の雨量計と水位計を設置し、地域防災対策への活用に向けた基礎研究を始めた。降雨量や水位を断続的に測定し、データとして集積・分析する。将来的には小学校などでの防災教育にも役立てたいと考えている。
近年、地球温暖化の影響で、毎年のように各地で豪雨災害が発生。福知山はこれまで何度も水害に見舞われ、由良川やその支流で国や府、市による治水事業が進められてきたが、温暖化が更に進み、予想以上の災害が起きる恐れがあるため、防災対策に役立てることができれば-と、設置を計画した。
雨量計と水位計は同大学情報学部の衣川昌宏准教授(41)が、市内の電子機器・計測器製造会社「橋電」の協力を得て製作し、ネットワーク化した。
雨量、水位のデータは、1時間や10分ごとの数値を棒グラフ、折れ線グラフなどで掲示し、すぐに量の増減が分かるようにしている。
設置場所は2014年8月の大雨で氾濫した法川と弘法川の流域で、それぞれ雨量計を2基、水位計を1基の計6基を取り付けた。
今回設置の雨量計と水位計は測定器としての検定を受けていないため、観測データとして正式に公表はできないが、センターでは集積した雨量や水位のデータを基に、出水のパターンや避難のタイミングなどについての研究を進める。
小学校での教育にも
法川流域では水内の大正小学校(伊豆英一校長)の敷地内に雨量計を設置。センターでは、同大学内の数理・データサイエンスセンター(畠中利治センター長)と共同で、市内の小学生らが学習でタブレット端末を使い、雨量などのデータを見ることができるようにしていく。
伊豆校長(54)は「雨量計の設置を機に、児童たちには防災への意識はもちろん、気象をはじめとする自然、デジタル情報技術などにも興味を持ってもらえればうれしい」と期待する。
センターでは、今回の6基とは別に、3月に大江町小谷に簡易雨量計1基を設置。蓼原・小谷両地区の自主防災組織がデータを参考に、災害警戒の支援情報として活用している。
横山センター長(65)は「今後、雨量計などを設置することで防災対策に生かせる地域があれば、機器の増設も考えていて、それぞれの地域での雨の降り方や水の増え方などを観測し、地域に適した防災対策を見いだしていきたい」と話している。
写真=大正小敷地内に設置された簡易雨量計を見る児童と伊豆校長(中央)