愛犬が守る丹波栗 日夜のパトロールでサル撃退
2022年09月22日 のニュース

日本の栗のルーツとされ、全国的に人気が高い秋の味覚「丹波くり」の収穫が、京都府福知山市内などで始まっている。三和町辻の細見昌一さん(71)が管理する栗園では、甲斐犬の福寿号が日夜パトロール。食べごろを狙うサルなどを追い払い、獣害に気をもむことなく、安心して収穫作業に汗を流している。
細見さんは、福知山地方丹波くり振興会の副会長で、JA京都にのくに三和町くり部会の部会長も務める。辻にある栗園(36アール)で、銀寄や晩赤、筑波など7品種を生産。丹波くりで地域活性化を-と、後継者の育成にも熱心に取り組んでいる。
25年ほど前から生産を始めたが、当初はイノシシとシカによる獣害に悩まされる日々が続いた。網で栗園を囲ったり、電気柵を導入したりして、これらの獣害は防げるようになったものの、5年前からはサルがやってくるようになった。
電気柵も飛び越えて侵入し、実を食べるだけでなく、枝も折ってしまうため、細見さんは頭を抱えていたという。そんなある日、インターネットで対策を調べていたところ、犬が有効と分かった。
それから息子の尚平さん(38)の知り合いに頼み、生後3カ月の雌の甲斐犬を4年前に譲り受けることができ、福寿号と名付けた。自宅の軒先に小屋を建て、すぐそばの栗園に自由に行き来できるようにしたところ、すぐに効果が表れた。
獣が栗園に近づくと、寝ていても気配と臭いで察知して、ほえながら威嚇し、その姿にサルたちはそそくさと退散。福寿号を飼い始めてから、獣害はピタリと無くなったという。
細見さんは「枝を折られると、3年はその枝に実がならなくなるので、サルによる被害には本当に頭にくる。福寿号が来てくれてから、そんなストレスも無くなり、とても頼りにしています。もちろん家族の一員で、大切な存在ですね」と体をなで、子どものように可愛がっている。
写真=愛犬の福寿号と細見さん