不思議と不気味を集めて「あやしい・・丹後」展 府立郷土資料館
2022年08月15日 のニュース
京都府内の博物館・資料館が、そろって「あやしい」展示になっている。不思議な形をしていて「どんなふうに使ったんだろう」と謎な品や珍しい形をした物、ちょっと不気味な絵画に神秘的な像などを、それぞれに集めて展示。このうち府立丹後郷土資料館(宮津市国分)は「あやしい・・丹後」展を開いている。
「あやしい」を切り口に、探究心や好奇心を刺激し「もっと知りたい」と思ってもらおう、日ごろ博物館へ来ない人たちに、足を運ぶきっかけにしてもらおうという連携企画。
展示品一点一点は歴史的資料や貴重な民俗史料だったりして、日ごろ大切に保管されているものだが、「あやしい」をテーマに一堂にそろえると、独特の雰囲気が生まれてくる。
例えば丹後郷土資料館の展示室正面に立つ経穴人形。鍼灸などで使われる人体の経穴(つぼ)を記した人体模型で、実際に東洋医学の世界で活用されてきた3体。医療機関や施術所に置いてあれば違和感ない人形だが、少し照明を落としてある展示室ではインパクト抜群で、特に若い来場者たちから高い関心を集めているという。
不思議なできごとを紹介する展示としては、「丹後の国に於て一夜の内に山湧出る次第」図がある。舞鶴市所蔵の瓦版。
弘化4年(1847)正月11日の夜半に、竹野郡木津(現京丹後市網野町木津)で「震動雷電(地震と地鳴りと雷、稲妻が同時に起きたような騒々しい様子)して大雨車軸を流す(大雨を強調した表現)。村民肝を冷やし」て怖がった。朝になると四方静まり、雨もやんだため外へ出てみたら、一晩のうちに山が出来ていた-という内容。
現在も「上り山」と呼ばれており、砂山のため当時よりは低くなって、丘のようになっていることを現地の写真を添えて紹介している。
土器、埴輪といった出土品にも珍しいものが多く、当時の人たちがどのように使っていたのか想像を膨らませながら見て回れる。
絵画では、死後の世界で死者を裁く10人の王を描いた、南宋時代(13世紀)の「十王図」(京丹後市・縁城寺蔵)や、怪談「番町皿屋敷」「播州皿屋敷」より古くから伝わる宮津の皿屋敷を描いたと思われる、江戸時代の絵師・佐藤正彦筆とされる「幽霊図」(宮津市・山王日吉神社蔵)などがある。
会期は9月4日まで。月曜休館で、時間は午前9時から午後4時30分まで。一般200円、小中学生50円。電話0772(27)0230。
写真=インパクトのある人形や絵図などが並ぶ府立丹後郷土資料館