一晩で70センチ 対策上回る雪で「不老長寿の実」ムベ農園が壊滅的被害

2022年02月03日 のニュース

 今冬の記録的な大雪で、京都府福知山市夜久野町西垣自治会が栽培する果実・ムベの農園が、壊滅的な被害を受けた。5年越しで完成させた棚が雪の重みで倒壊し、その後も降雪日が多く、手がつけられない。軌道に乗った矢先の出来事で、生産メンバーは「大半の木が折れているようなので、一からやり直すしかないだろう」と途方に暮れる。

 ムベ農園は、約7アールの休耕田を開墾し、2017年冬に約100本の幼木を植えた。試行錯誤しながらも順調に育ち、枝は高さ約2メートルの棚状に広がり、昨年は前季の倍、市場価値が高まる平均400グラムの大きな実がなるまでになった。

 ムベは不老長寿の果物と言い伝えられ、収穫した実は地元販売を続けてきた。一方で、集団生産地が全国で3カ所程度しかないことから、全国各地から購入希望の連絡が入るようになり、郵送対応をして順調な売れ行きだった。2次産品の開発も検討し、生活習慣病の予防効果がないかを京都府立大学に成分調査をしてもらうなど、様々な計画が膨らんでいた。

 ところが、昨年12月27日早朝、衣川秀正・事業部長はがくぜんとした。農園前の府道を通ると、雪で棚が押しつぶされていた。支柱となる鉄パイプ約100本の大半が倒壊。雪害対策として棚の上からワイヤを放射状に張って枝を吊り上げていた2カ所の「雪吊り」も効果はなかった。

 地区は市内でも積雪量が多く、棚上の雪下ろしの作業をこまめに続けることで、昨シーズンまでは被害を防げていたが、今シーズンは一晩で約70センチの降雪となり、想定外の事態になったという。

 中島千弘自治会長と衣川部長は「弱音を吐いても仕方がないが、雪害対策もしていただけに残念でならない」と話す。再生には倒壊した棚の撤去費を含め多くの資金が必要。「西垣を元気村にと始めた事業で、市の特産品に育てたいとの思いがあり、ここでさじを投げたくないが」と顔を曇らせる。

 

 

写真上=雪の重みで押しつぶされたムベ農園の棚
写真下=豊かに実ったムベ(2021年秋)

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