福知山公立大井口学長が最終講義 退任を記念して配信
2022年01月30日 のニュース

京都府福知山市の福知山公立大学は、任期満了に伴い3月末で退職する井口和起学長(81)の最終講義を26日にオンライン配信した。史料「明治丗(さんじゅう)七八年戦史」を参考に、軍都と呼ばれた福知山が日露戦争時(1904-05年)に体験したことを解説した。
井口学長は福知山市出身で、専門は歴史学。京都府立大で1998年から2004年まで学長を務めたあと、公立大学が開学した16年4月から現職。当初の2年間は授業もしていた。
退任を記念した最終講義は大教室で予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、動画配信サイト「ユーチューブ」を使って映像を配信した。
講義のテーマは「軍都福知山の形成-日露戦争と福知山町」。福知山町は、明治31年(1898)に「歩兵第二十連隊」の駐屯地となり、日露戦争で、大規模な軍隊の出征見送りや宿舎提供などの徴発があり、俘虜収容所が置かれた。「これらは陸軍の連隊の所在地でないと経験しないこと」と解説した。
また税金が高くなり、「期日内に完納するものはほとんどまれ。督促令状を発したのが(人口6200人のうち)2561件で、商人など転々とするものが多く徴収に苦労した」と当時を振り返った。
最後には、「今どんな未来を築こうとするのか、それが歴史を学ぶことに意味を与えてくれます」と説き、若い人への期待を込めて、「あなた方こそが、地域の未来につながる創造的な問いかけをされることを確信しています」とメッセージを送り、締めくくった。
講義の様子は、公立大学のホームページで見られるようにしている。ホームページでは、井口学長へのメッセージも募っている。
写真=最終講義をする井口学長