協賛金返金などに追われ「気持ちが折れそう」 緊急事態宣言で文化行事中止の実行委

2021年08月23日 のニュース

 京都府内での新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言発令の影響で、文化活動の延期や中止が相次いでいる。22日に綾部市の京都府中丹文化会館で予定されていた「第24回きょうと北部演劇まつり」もその一つ。中止を決めた、福知山市民らでつくる実行委員会(日比野修三委員長)のメンバーたちは、「時間をかけて準備をしてきたので非常に残念」と肩を落とす。

 演劇まつりは、1996年に開かれた「きょうと児童青少年えんげきまつり」が始まり。2008年から今の名称になり、人形劇、朗読、合唱、プロの舞台といった多彩なプログラムを組み、市内の会場で開いてきた。今回は、関西圏のアマチュア、プロの劇団員と音楽家らで作る創造音楽劇「あしたの森のチコ」などを、より広い会場で感染症対策も万全にして実施するはずだった。

 ところが、本番直前の18日、政府が京都府などへ緊急事態宣言発令の拡大を発表した。

 観客の収容人数や十分な距離などを守れば、すでに前売りをしているイベントはそのまま開催できた。出演者はPCR検査で陰性を確認済みで、会場の設定、協力者への依頼、出演者の調整など、昨年5月ごろから進めてきたことが頭をよぎった。それでも、府県の移動を伴う出演者がいることや、市内外で感染者が増え始めていることから、観客に多い子ども連れらへの感染拡大を防ぐことを第一に中止を決断した。

 パンフレットやポスター、チラシなどを作成、配布し、チケットの前売りもしていたため、日比野委員長(79)や上垣裕子副委員長(65)たちで手分けして各所へ連絡。予算面では、府の補助金で一部は補償されるものの、範囲は限られており、残りは自分たちの負担になる。

 協賛金や広告で資金面の協力をしてくれていた企業、団体、個人と、チケット購入者への返金も続く。上垣副委員長は、「何度も『中止になりました』と伝えるたび、気持ちが折れそうになります」と言う。

 ただ、中には「楽しみにしていたので、これからも頑張ってください」「(協賛金を)また次のためにとっておいてください」など、温かい声を掛けられることもある。その度に、協力してくれる多くの人のありがたさを実感している。

■「文化活動やめる人増えないか心配」■

 演劇や展示、合唱、演奏といった文化活動は、新型コロナが発生し始めた昨年から、発表会などの中止が多い。上垣副委員長は「歌手や演者の息遣い、表情を生で見て感動できる機会が減っています。文化活動をする人は、見てもらうことも原動力なので、活動をやめてしまう人が増えていないか心配です」と危惧し、「行政には、文化団体への支援も充実してほしい」と訴える。

 日比野委員長は「オンライン配信という方法もあります。でも、やはり、観客みんながその場の空気を感じ、共有することが大切なんです。お客様あっての舞台公演。早くコロナが収束して、安心してイベントが実施できるようにと願っています」と話していた。
 
 
写真=中止になった演劇まつりのパンフレットを持つ上垣副委員長

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