ICT建機を農業に活用 水害続いた田で3倍速く作業
2021年04月22日 のニュース

工事現場で活躍するICT(情報通信技術)を活用した建設機械を農業にも生かせないかと、京都府福知山市奥野部の総合建築業、三丹開発(塩見渉社長)はこのほど、市内の水田で実証実験をした。
国土交通省は、河川工事などの生産性の向上や品質の確保を目的に、ICT建機の活用を進めていて、三丹開発は4年前から由良川の築堤盛土工事などに使っている。
現場近くの土(つち)地区で、度重なる水害で泥が流れ込み、20センチほどの高低差が生じて作業が困難だった水田2区画の整備について、農事組合法人遷喬ふぁーむ(大槻憲雄代表)から相談を受けたことをきっかけに、同社はマシンコントロール技術による均平作業をすることにした。
面積は計2万5千平方メートル。通常の建設機械を使えば2週間はかかる作業だというが、現場で稼働していたICT建機のブルドーザーを使って計4日間で土をならすことができた。
4月上旬の作業日初日には関係者らが視察。国交省福知山河川国道事務所福知山出張所の齋藤信彦所長は「公共事業で主流となっている建設業のICT建機を農業分野に活用する取り組みは初めてで画期的」と言い、今後の可能性に期待した。
三丹開発の工務課長、大野雅彦さんは「これまでのやり方よりも3倍速く終えることができた。仕上がりも均一で滑らか。費用面などの課題はあるが、この結果を踏まえて、今後の運用を考えていきたい」と話していた。
従来はオペレーターの技術によって仕上がりが左右されたが、ICT建機なら、「丁張り」の設置作業などが不要となり、作業効率と安全性が大幅に向上するという。
写真=ICT建機でほ場整備をした