神社で伐採した樹齢100年のイチョウで「山の女神像」 集落のために京美大生

2021年04月10日 のニュース

 京都府福知山市夜久野町奥集落の八幡神社境内で伐採された樹齢100年のイチョウの木が、5年の歳月を経て「山の女神像」として生まれ変わった。京都美術工芸大学京都東山キャンパス=京都市東山区=の学生たちが、「形にして住民の心に残るものにしたい」と奥自治会から依頼を受けて協力。集落で伝統行事・山の神講が継承されていることから、信仰対象の山の神をモチーフに制作した。

 素材となったイチョウは高さ約9メートル、胸高周囲約3メートルの巨木だった。氏子が植えたと伝わり、長年親しまれてきた。しかし落葉シーズンに周辺の田畑や民家に大量の落ち葉が飛び散るため相談を重ね、2016年春の自治会総会で苦渋の伐採が決まった。

 当初は処分する予定だったが、地区在住の夜久野みらいまちづくり協議会の衣川裕次会長が、「思い出の多い大樹。再利用できないか」と自治会に提案。住民の了承を受け、道の駅農匠の郷にある市やくの木と漆の館を通じて、京美大の遠藤公誉講師(漆芸)に相談し、教材として活用することが決まった。

 完成した山の女神像は台座を含めて高さ90センチ。稲穂を手に柔和な表情を浮かべ、柿渋塗りをして仕上げている。

 イチョウは水分を多く含み、よく乾燥させないとひび割れするため、伐採してから約3年間乾燥させたあと、学生10人が伐採木再生プロジェクトチームをつくり、京美大の青木太一講師(彫刻)らの指導で完成させた。

 山の神講は、山の神に感謝する伝統行事。奥地区では近年、12月の第1日曜日に八幡神社で行い、祭壇に供え物をして正午に戸主全員が参拝し祝詞をあげる。その後、公民館で床の間に「山の神」の掛け軸をかけ会食をする。夕方には境内で木組みに点火し、五穀豊穣や無病息災を祈願する。

 3月末に京美大であった引き渡し式に参加した衣川会長は「東日本大震災の倒木を木像にして寄贈する活動をした大学で、経験豊かでいいものができると期待していました。予想以上の出来栄えで、地元では宝物がひとつ増えたと喜んでいます。末永く大切にしていきたい」と感謝していた。

 
写真上=穏やかな表情を浮かべる女神像
写真下=像を制作した学生たち

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