本は人生のおやつです!! 本好き店主が作った本好きのための本屋さん

本好き店主が作った本好きのための本屋さん

 本が好き、本を読むのが大好き。そんな店主の思いがあふれた本屋さんが、朝来市に今春誕生した。明治に建てられた古民家を気に入り、リノベーション。前を流れる川の音だけをBGMに、静かに時間が流れる中で、店主お薦めの書籍を手に取る。そんな書店の名前は「本は人生のおやつです!!」。 

朝来で古民家を改装 大阪・堂島から移転

 営んでいるのは坂上(旧姓)友紀さん(43)。「物心つく前から本が好き」だったといい、小学校、中学校は読書に浸って育ったともいう。

 以前は大阪市のビジネス街、堂島で書店を営んでいた。自宅は伊丹市。通うのではなく、店舗と住居を一つにしたいと思い、各地で物件を探した。「自然の豊かな場所がいい」と、地方を見て回り、この物件を見つけ、建物と周囲の環境に一目ぼれした。

 場所は朝来市山東町矢名瀬。福知山市街地から国道9号で西へ。夜久野高原の急な坂を下り、さらになだらかな坂を下り、JR山陰線をくぐって大きくカーブした後の交差点を左折。300年以上続く造り酒屋、べんがら格子の家並みが続く落ち着いた街並みを進む。昭和レトロな風情を生かした旧商店街。大型車が行き交う国道と一転した静かな通りに、心もしずまる。昭和こども館の前を右折すると、目の前が柴川。川沿いの細い道を左折してすぐの場所にあった。

 平屋の建物をフローリングに改装して本棚を置き、約5千冊の本が並ぶ。古書が6割、新刊4割という比率。明治の文豪から現代の小説まで幅広く、読み物系を中心に坂上さんが「自分が読んで、良かった本、気に入った本」をそろえている。

 堂島時代はビル2階に店を構えていて、外からは見えなかったが、客は絶えなかった。9割が常連。「坂上さんの薦める本なら」と、店主の目利きを信頼して全国から本好きが通っていた。

 但馬に移転した今も、東京や広島から来てくれる人がいる。「おもしろい本屋さんができた」と口コミやSNSで知った近隣の人たちも多く来店。移転前には「地方で書店経営は厳しいでしょ」と、よく心配されたというが、今のところ坂上さんは先行きを心配していない。


写真上=「本はおもしろいと思ってもらえる場に」と話す坂上さん

古民家をリノベーションした「本は人生のおやつです!!」

新刊と古書を合わせて約5千冊が並ぶ店内

夫は福知山出身 イラストレーター

 一番の理解者は、夫で福知山市出身の足立真人さん(45)。むらいち(土師宮町)を事務局とする地域密着型クレジットカード「たんたんともだちカード」のデザインも手がけたイラストレーターで、コロナ禍前からインターネットを使ったリモートワークをしていた。住む場所を選ぶ仕事ではなく、地方移住に賛成。実際、転居後も仕事の件数は変わらず、矢名瀬の人と、環境を気に入っている。

写真=足立真人さんのイラスト

昭和レトロな通りを抜け 川の音をBGMに

 「本は人生のおやつです!!」という店名。実に個性的な名前には、坂上さんの本への思いがこもっている。「本は、絶対になければいけないご飯ではないかもしれないけれど、あればあるだけ人生を豊かにしてくれる」と思って名付けた。

 子どものころから「読んで楽しい」ので本を手にしてきた。「おもしろい、楽しいから読む。結果としていろんな知識を得ることもある。でもそれは結果であって、頭を良くするためとか、生きるヒントを得るためとかは本を読む一番の理由ではなくて、一番の理由はひたすら楽しいから読んでいます」という。

 電子書籍が増えてきたが「場所を取らず便利な面はありますが、私はやっぱり紙の本。手触りとか五感で楽しめる。読み進めるうちに残りのページ数が減っていくのが分かる。あー、おもしろいのに、もうすぐ終わってしまう!という、この感覚は紙の書籍ならではです」と話す。

 店内はまだ改装が続く。棚を増やして書籍の数を増やしているところ。「ここを、本っておもしろい!と思ってもらえる場に育てていきたいです」


写真上=昭和レトロな通り。この一本裏に書店を開いた

「本が好きな人は手紙を書くのも好きな人が多いので」とレターセットなど雑貨も置く。ご主人の足立真人さんのポストカードも人気

坂上さんの最近のお薦め5選

「本は人生のおやつです!!」

朝来市山東町矢名瀬町689
営/土~火曜日の10:00~18:00
TEL 079-660-7472

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