牛からいただく おいしい恵み

今年は丑年

 2021年が始まりました。今年の干支、丑にちなんで、牛からいただくおいしい恵みを紹介。
なかでも「牛の顔がみえる」商品を提供する企業やお店をクローズアップしました。

丹波乳業

近隣の牧場で愛情深く育てられた牛からしぼる新鮮な生乳

 風と光が通り抜けるここちよい牛舎でのんびり過ごす乳牛たち。みんな穏やかで人懐っこい。恐る恐る近づく記者に警戒することもなく、むしろ好奇心旺盛にカメラ目線を送ってくれる。

 丹波市で乳製品を製造する丹波乳業の社長、酪農家でもある吉田拓洋さんが青垣町で営む「拓ちゃん牧場」。毎朝しぼりたての生乳がここから牛乳工場へと運ばれ、牛乳やヨーグルトが作られている。

 健康状態が生乳の味に影響するため、50頭いる乳牛の首にはセンサーをつけ、細かに体調を管理し、エサの配合や量を調節している。また、ストレスを感じさせないよう、首をつながず、なるべく自由にさせていて、吉田さんが顔を寄せると、牛たちも応えるように顔を近づける。愛情いっぱいに育てている様子が伝わってくる。

 50頭もいると、1週間に1度は子牛が生まれるという。命の危険を伴う分娩は神経を使うが、吉田さんは「無事に生まれるとうれしいですね。子牛には名前も付けます」と満面の笑み。牧場を手伝う妻のあゆみさんも、牛の顔をみるだけで体調の変化が分かるといい、家族のように可愛がっている。

顔を近づける様子はまるで、会話しているようです

吉田さんと奥様のあゆみさん

記者のカメラに興味津々

牧場で生まれた子牛。温かい服を着せてもらっています

愛され続け、地元シェア50%

【写真】丹波乳業の代表的な商品「ひかみ牛乳」。給食でも提供していて、吉田さんは「子どもたちからの『おいしい』や『ありがとう』の声が励みになります」という。牛のキャラクター「たんたんちゃん」が目印

 吉田さんが社長を務める丹波乳業は、拓ちゃん牧場をはじめ、近隣の牧場から集めた生乳で乳製品を製造している。おいしさの秘訣は、「何と言っても新鮮さ」と吉田さん。近隣の牧場で絞った生乳は、翌日には工場へ届き、鮮度が落ちやすくデリケートな生乳を最短の時間で製品化できる。

 地元からの支持も厚く、市内では牛乳シェア50%を誇り、学校給食で提供される「ひかみ牛乳」は故郷の味として親しまれる。低温で殺菌することで生乳そのものの味を生かした「氷上低温殺菌牛乳」は有名洋菓子店からの引き合いが多い。酸味がたまらない「丹波ヨーグルト」や特産の黒豆、大納言小豆を贅沢に使った丹波ならでは製品も人気がある。

 牛乳工場は、もともと旧兵庫県丹但酪農組合の事業の一部だった。機械の老朽化、酪農家の高齢化などにより、一時、閉鎖の危機に追い込まれたが、若手の酪農家だった吉田さんが「子どもたちに地元の味を届けたい」という熱意で事業を継承し、2014年、丹波乳業を立ち上げた。「市民の骨を支えている自負があります」。工場では徹底した生産管理を行い、安心安全な乳製品を家庭や学校に届けている。

氷上町にある牛乳工場。毎日、新鮮な生乳が集められる
牛乳をパック詰めする製造ライン。1時間に6千本作られる
生乳が集められるタンク。この中に最大45トン入る
低温殺菌牛乳は、エサや育て方を統一した4つの牧場の生乳だけで作っている。「丹波ヨーグルト」は、生乳100%、酸味がしっかり効いた王道の味。ネーミングがユニークな「のんじゃえ丹波」はミルクタンクの形のパッケージがかわいい。商品は丹波市内のスーパーや道の駅で買える

丹波市氷上町石生桧ノ前162
☎0795-82-6324
オンラインショップはこちら↓
https://www.tambamilk-shop.jp/

道の駅 村岡ファームガーデン

黒毛和牛の母なる存在「但馬牛」

 但馬地方で繁殖される「但馬牛」は国産黒毛和牛の母なる存在といわれる、すごい牛。神戸牛、松坂牛、近江牛、米沢牛、飛騨牛、前沢牛…名だたるブラント牛は「但馬牛」を素牛(もとうし)に改良されたという。社団法人全国和牛登録協会の調査でも、全国の黒毛和牛の母牛の99.9%が但馬牛の子孫だと明らかになった。

 もともと但馬牛は、但馬地域の山間部で、田畑を耕すための役牛として飼われていた。豊臣秀吉の大阪城築城の際に全国から牛が集められた時は、小柄ながら力強い働きが評判になったという。

 夏は険しい山道を歩き、雪深い冬の寒さに耐える厳しい環境の中で、程よい弾力と濃厚な旨味を兼ね備えた肉質が生まれた。一番の特徴は、脂の融点が低いこと。口の中でフワッと溶ける脂は甘く、マグロのようにあっさり。

地元の名産「但馬牛」をリーズナブルに堪能

【写真】ため息がでるほど、美しいサシ。融点が低いさらさらの脂が特徴

香美町の道の駅・村岡ファームガーデンでは、但馬牛の中でも飼育方法やエサにこだわって育てられた「但馬玄(たじまぐろ)」を一頭買いし、余すところなく料理や精肉することで、リーズナブルに提供している。

 レストランで味わえるメニューはステーキ、ローストビーフ、コロッケなど80種以上。中でも一番人気はたじま牛ハードバーグセット(1800円)で、つなぎを使わず、ぶつ切りにしたミンチ肉だけで作る、肉感の強い一品に仕上げた。「コロナに勝つ」とかけ、バンズからはみ出るほどの巨大カツを挟んだハンバーガー(567円・期間限定)などテイクアウトメニューも好評。

 また、但馬牛の精肉店「牛将」を併設しており、バラ、ヒレ、ホルモンなど様々な部位を並べる。ネットから買うこともでき、すき焼き用、しゃぶしゃぶ用、ステーキ用など目的やサーロイン、ロースなど好みの部位、予算などから選ぶことができる。いろんな部位を味わってみたい人向けのおためしセットもある。

レストラン一番人気のたじま牛ハードバーグ
ため息がでるほど、美しいサシ。融点が低いさらさらの脂が特徴

但馬牛重ねカツ定食

テイクアウトで人気。ハードバーグを挟んだ黒バーガー(1000円)

レストラン

支配人プロデュース、地元の特産を生かしたお土産が並ぶ

併設の但馬牛精肉店「牛将」

国道9号線沿いにある

美方郡香美町村岡区大糠32-1
℡0796-98-1129
レストラン10:00~15:00(食事は11:00~)、売店9:00~17:00
土日祝 レストラン9:00~18:00(食事は11:00~)、売店9:00~18:00
★道の駅オンラインショップ→ http://www.farm-garden.jp/webshop.html
★但馬牛専門店「牛将」オンラインショップ→ http://www.farm-garden.jp/gyusho/

あいす工房 らいらっく

自家牧場のしぼりたてミルクで作るスイーツ
【写真】カボチャとイチゴ、みるくの組み合わせ。鮮やかな色は素材そのものの色が生かされている

 朝来市の山間に佇む「あいす工房らいらっく」。お店を100m上った先にジャージー牛12頭を飼育する自家牧場があり、毎朝、搾りたての生乳を使ってジェラートを作っている。 ホルスタインに比べ、乳脂肪分が高く濃厚で風味が豊かなジャージー牛の生乳から出来るジェラートは、コクと粘りがあり、それでいて後味はさっぱり。濃厚な生乳の味と香りが楽しめる「みるくの香り」を基本に、季節の果物や野菜を使った約18種が並ぶ。いまの時期は、夜久野産のカボチャや果肉たっぷりのイチゴが登場し、鮮やかにショーケースを彩る。店は、かわいいログハウス風で、窓からの田園風景を眺めながらのんびり食べることができる。カップ入りの持ち帰り用もある。(シングル・カップ400円、コーン430円・税込み)

 一晩解凍して食べるアイスプリン「アーモンドブリュレ」(1個400円)も人気。濃厚なプリンと香ばしいアーモンドのキャラメリゼが絶妙に合う。ほかにも3層になった「ガトーフロマージュ」、なめらかな「ミルクジャム」など上質なジャージーミルクを生かしたスイーツがある。同店の商品はふるさと納税の返礼品に選ばれていて好評。ネットでの販売も受けている。

【写真】アーモンドブリュレ

 一晩解凍して食べるアイスプリン「アーモンドブリュレ」(1個400円)も人気。濃厚なプリンと香ばしいアーモンドのキャラメリゼが絶妙に合う。ほかにも3層になった「ガトーフロマージュ」、なめらかな「ミルクジャム」など上質なジャージーミルクを生かしたスイーツがある。同店の商品はふるさと納税の返礼品に選ばれていて好評。ネットでの販売も受けている。

 代表の吉井裕也さん。ジェラートのお店は、酪農をしていた父・英之さんと、裕也さんが高校生の時に亡くなった母・律子さんの夢だったという。父と息子が協力し、母の夢を叶える形で「らいらっく」は2003年に誕生した

牧場でのびのび暮らすジャージー牛
オンライン注文もでき、お歳暮、お中元、プレゼントなど贈り物に喜ばれる
お店の窓からはのどかな田園風景が広がる

ログハウス風のかわいいお店

朝来市和田山町白井486
TEL079-670-1766
(営)10:00~17:00 (休)水曜日
HP→ http://lilac-ice.com/index.php

2021年1月9日号掲載

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