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両丹日日新聞2015年6月 6日のニュース

成美大短大部が来年度の学生募集停止 入学生少なく経営難に

成美大学短期大学部 福知山市の成美学園(小西健司理事長)は5日、西小谷ケ丘にある成美大学短期大学部の学生募集を、来年度から停止すると発表した。今後は在学生が卒業するまで、成美学園が現行のまま運営し、17年3月に閉学する方針。入学者の減少による財政面の悪化が原因としており、5月29日に開いた理事会で決定し、1日には文科省に募集停止の届け出をした。学生、保護者、教職員、同窓会にも説明を済ませており、理解を得ているという。

 現在、短大部は生活福祉科食物栄養専攻のみ。15年度は定員35人に対し、入学生が14人と過去最低となり、約5900万円の赤字が出ると予想している。昨年度も約4600万円の赤字だった。

 過去をさかのぼっても、8年前から定員割れの状態で、赤字経営に陥っていた。このため、学園では同じく存続の危機にある成美大とともに、公立化を市に要望していた。

 しかし短大部は、市との公私協力方式で開学した成美大とは色合いが異なるため、市が昨年10月に設置した4年制大学のあり方を考える有識者会議では、短大部についての議論はされなかった。

 一方で、今年1月の公立大学検討会議では、「地域社会で果たしてきた役割、食物栄養分野が持つ将来的な可能性などを踏まえると、4年制大学と同時に、短大部の公立大学法人への設置者変更も検討するべき」との報告書が提出された。

 これを受け、市は3月に策定した大学の基本構想のなかで、短大部の取り扱いについて触れ、「15年度以降に、速やかに方針を決定する」と明記していた。


■設置者変更は時間がなく■

 しかし、今も市の結論が出ず、16年4月の設置者変更へは議論する時間が無いため、時期的に困難と判断。また17年度以降に設置者変更する場合は、公立と私立の大学が同じ施設を使用することになり、文科省などとの手続きが進まなくなる可能性が高い。

 この点も考慮し、短大部を進学志望先のひとつと考えている生徒に迷惑がかからないよう、この時期に結論を出すことにしたという。閉学までは、公私の大学が施設を共有することになるが、文科省との調整で特例が認められている。

 短大部の内山昭学長は「これまで培ってきた食物栄養関係の科目が、何らかの形で公立の新たな4年制大学に引き継がれるよう、市に働きかけをしていきたい」と話している。

■65年の歴史に幕■
 
 短大部は、1950年4月に山陰短期大学として開学し、56年には京都短期大学に改称。商経科と生活福祉科の2学科体制だったが、このうち商経科は改組転換され、00年に京都創成大学(現成美大)に生まれ変わった。

 一方の短大の生活福祉科については、10年に「成美大学短期大学部」に改称し、現在に至っている。設置基準上は短大扱いのままで、事実上4年制と短大の2校があった。

 豊かな人間性と基礎学力、さらに専門知識と技術を持った栄養士などの養成に努め、山陰短期大学時代から数えて、昨年度までに計7930人の卒業生を送り出してきた。

 女子学生が多いのが特徴で、地域で学び、地域で働き、地域で結婚・出産する次世代の担い手を育成する場として、役割を果たしてきた。多くの卒業生が、現在も地域の病院や福祉・介護施設、保育園などで活躍している。

 成美学園の小西理事長は「今年度の入学者が14人と少なく、今後も定員を満たすことが困難と判断し、募集停止という決断に至りました。関係者のみなさまには、心からおわびを申し上げます」と謝罪した。

 短大部の教職員9人については、「個別面談を行って要望を聞き、出来る限り教職の仕事を続けられるよう、取り組んでいきたい」と話している。


写真=学生の募集停止が決まった成美大学短期大学部

    

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